2023 Fiscal Year Research-status Report
単調欠測データをもつ成長曲線モデルにおける検定とモデル選択について
Project/Area Number |
22K13961
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
八木 文香 東京理科大学, 理学部第一部応用数学科, 講師 (40823547)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 統計的仮説検定 |
Outline of Annual Research Achievements |
(i) 2-step単調欠測データの下での成長曲線モデルにおける平均構造の適合性検定と(ii) 単調欠測データの下での分散共分散行列のスフェリシティ検定について,いくつかの研究成果を得た. (i)については,成長曲線モデルで仮定する平均構造の特定化が適しているかどうかの検定についての議論である.1標本問題における2-step単調欠測データに対するT二乗型検定統計量を提案し,その帰無分布の近似上側パーセント点として,F分布を用いたものを提案した.2022年度は漸近展開により検定統計量の帰無仮説の下での期待値を導出することによって近似上側パーセント点を提案したが,2023年度は新たに分散も導出し,その結果を利用して近似上側パーセント点を提案した.いくつかのパラメータの下で,ある既知行列に対してモンテカルロ・シミュレーションを行い,提案した近似上側パーセント点の近似精度が良いことを示し,その研究成果を学会にて発表した. (ii)については,1標本問題の分散共分散行列の検定におけるスフェリシティ検定問題に対する尤度比検定統計量と修正尤度比検定統計量の帰無分布に対する漸近展開を導出し,これらの検定統計量の上側パーセント点の漸近展開も与えた.また,その結果を用いて近似上側パーセント点をいくつか提案した.モンテカルロ・シミュレーションを通して,いくつかのパラメータに対して提案した近似上側パーセント点に対するType I error について数値的評価を行い近似精度が良いことを示した.この研究成果を学会等で発表し,テクニカルレポートとしてまとめた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で記載の(i)については,計画通りに成果を得ることができた. (ii)については,予定した以上の研究成果が得られた.当初は2-step単調欠測データの場合の研究結果を得ることでさえ容易ではないと思われたが結果を得ることに成功し,さらにその結果を3-step単調欠測データの場合及び一般の単調欠測データの場合へと拡張することにも成功した.
|
Strategy for Future Research Activity |
「研究実績の概要」で記載の課題(i)については,理論の補強や更なるモンテカルロ・シミュレーションによる数値実験を行った上でテクニカルレポートとしてまとめる予定である.またこの結果を2標本問題へ拡張する.(ii)については,多標本問題へ拡張することを考える.
|
Causes of Carryover |
国外の研究者との研究打ち合わせが延期となったため次年度使用額が生じた.2024年度にその研究打ち合わせを再開することができればそのための出張旅費として使用し,また,得られた研究成果を国内外の学会等で発表するための出張旅費として使用する予定である.
|