2022 Fiscal Year Research-status Report
Global analysis of mathematical models with conservation law by semi-analytic methods using the elliptic functions
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22K13962
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
森 竜樹 武蔵野大学, 工学部, 助教 (00786783)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 反応拡散方程式 / 非局所 / 非線形境界値問題 / 楕円関数 / 完全楕円積分 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は主に、本研究課題の目標であった、(A)「非局所Allen-Cahn方程式(Allen-Cahn-Nagumo方程式)の2次分岐後の分岐の方向,解の安定性の解明」と(B)「非局所Fix-Caginalp方程式の大域的解構造の解明」に関する実績を得ることができた。 (A)に関する実績について述べる。(A)を直接に解析するのではなく、本質的に似ている部分を持つ問題である積分制約条件付き細胞極性モデルの解析を行うことで、(A)の2次分岐分岐の方向の計算方法の見通しがついた。積分制約条件付き細胞極性モデルの解析では、大域的解構造を示す曲面のパラメータ表示を構成した。構成の際、直感的にパラメータ表示を構成すると、無限のパラメータ領域が1点に集約されるような特異点が現れるが、パラメータ空間を分けて、対称性を用いて再構成することで、特異点を持たないパラメータ表示式を導出することができた。このパラメータ表示式を応用することで(B)の2次分岐分岐の方向を合成関数の微分とパラメータ表示式の微分を用いて計算できることがわかった。なお、上記の積分制約条件付き細胞極性モデルに関する結果は論文で発表を行った。 (B)に関する実績について述べる。(B)の問題の解の存在・非存在については1次元に注目したとしても、部分的な結果が約20年前に得られているのみで、解の存在・非存在の必要十分条件は技術的に難しい問題である。しかし、本研究課題で主として取り扱う楕円関数と楕円積分を用いた半解析的な手法によって、解の存在・非存在の必要十分条件を明らかにすることができた。さらにこの問題においても2次分岐が起こることを示すことができた。内容は論文でまとめ、発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題で目標としている(A):非局所Allen-Cahn方程式の2次分岐後の分岐の方向,解の安定性の解明,(B):SKT交差拡散方程式の拡散係数を止めるごとの解の個数と安定性の解明,(C):非局所Fix-Caginalp方程式の大域的解構造の解明の3つの問題について研究計画通り進展している。 特に、(C)については、約20年間、未解明であった解の存在・非存在の必要十分条件を明らかにし、結果を論文として発表することができた。 現在は(A)に関しての論文を執筆中である。 (B)については、拡散係数を無限大としたある極限方程式の解構造の解析の際に現れる膨大な数式の処理を行う方法を模索している状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在執筆中である、非局所Allen-Cahn方程式の2次分岐後の分岐の方向に関する論文をまとめ、論文として発表する。 フェーズフィールドモデルの定常問題(非局所Fix-Caginalp方程式)に関しては急速に研究が進展し、2次分岐が起こることが2022年度の研究で明らかとなった。ゆえに、さらに詳細な大域的解構造の情報である2次分岐の方向に関して計算を進める予定である。 SKT交差拡散方程式の拡散係数を止めるごとの解の個数と安定性の解明に関しては、上記2つで得られた計算方法を応用・発展させることで、膨大な数式を処理する方法の確立を目指す。
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Causes of Carryover |
執行率は93.3%でありほぼ計画通り執行できているが、一部、新型コロナウィルスの影響で、思うように対面での議論や研究集会へ参加しての情報収集が進まなかったため、計上していた旅費との差額が生じた。また、数式処理ソフトの金額が予定していたものより安かったため、差額が生じた。これらの差額は本年度の研究発表、専門家との議論のための出張等の旅費として使用する予定である。
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Research Products
(5 results)