2022 Fiscal Year Research-status Report
Novel properties of two-dimensional electrons at the unique (111) interface in perovskite oxides
Project/Area Number |
22K14001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村上 裕美子 (片山裕美子) 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (60748680)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ペロブスカイト酸化物 / 輸送特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では(111)配向性をもつペロブスカイト酸化物薄膜を作成し、疑ハニカム構造をとるヘテロエピタキシャル界面、固-液界面におけるキャリア濃度、スピン軌道相互作用を制御することにより、新奇物性を探索することを目的としている。初期段階として、すでに(001)での知見を多く得ているSrVO3成膜から着手した。初年度、ペロブスカイトのBサイトをd1の電子配置をもつより重い元素に置き換えることによりスピン軌道相互作用の強さを替得ることを目的として、SrMO3(M=V,Nb,Ta)を成膜した。SrVO3(111)の成膜を行った。異なる基板SrTiO3, LSAT, LaAlO3について成膜した。厚膜で同じPLD、基板(SrTiO3)を使った場合とくらべて移動度が1/10程度低い値をえた。格子ミスマッチの小さい基板LSATではSTO上に比べ一桁大きな移動度となった。 SrNbO3(111)についてはLSATとSTO上で成膜を行い、輸送特性を測定中である。(001)(111)STO上で成膜したSrNbO3は非常に高い移動度(>104cm2/Vs)が観測された。成膜中のNbの基板への拡散による効果が疑われたため、SIMS測定を行った。Nbは基板内部へ高温成膜ほど拡散し、SrTiO3:Nb層を形成することが確認された。LSAT上の成膜結果については、(001)面方位上の結果と比較を行っていく。 SrTaO3については、(001)(111)LSAT上に基板温度、膜厚を制御して成膜を行った。膜厚低下に伴う金属絶縁体転移を観測した。配向性については(001)は30nm付近で移動度最大値を示した。一方、(111)では、膜厚が上昇するほど移動度が増加するふるまいがみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すでに(001)基板上での特性について比較検討可能な組成の膜について成膜を行い、輸送特性を明らかにしつつある。準安定物質であるSrTaO3薄膜の作製に成功し、d電子1つの遷移金属のペロブスカイト酸化物の系について、膜厚、歪み、面方位などの因子について系統的な知見が得られると考えられるためである。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、SrTaO3薄膜で得られた結果を論文にまとめ、論文投稿する。また、磁気抵抗の角度依存性に興味がもたれるので、測定系の構築を行っていく。
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