2022 Fiscal Year Research-status Report
Probing dark sector from particle decay
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22K14029
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
殷 文 東北大学, 理学研究科, 助教 (20908719)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 粒子崩壊 / 加速器 / 暗黒物質 / 粒子生成 / インフレーション / 赤外線分光器 / 直接探索実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
光子への崩壊が引き起こす宇宙赤外線背景の非等方性から、10eV-20eVのアクシオン暗黒物質に対して現時点で最も強い制約が得られた(2205.01079)。 矮小楕円体銀河における暗黒物質崩壊光子を最先端の赤外線分光器で探る方法を提案した(2208.05975)。最先端の赤外線分光器はすでに、マゼラン望遠鏡、すばる望遠鏡、James Webbs Space Telescopeに搭載されている。他目的で搭載されたこれら赤外線分光器を使って、矮小楕円体銀河の中心部を分光することで、わずか数時間程度で、対応質量においての暗黒物質に対して世界トップレベルの強い制限あるいは発見に至ることがあることを指摘した。 また、将来の加速器実験でヒッグス粒子から暗黒物質への崩壊を探る詳細研究を行った(2204.01739, 2204.04770, 2209.07565)。特に、ダークヒッグスが存在するような模型において、ILCでの暗黒物質サーチは従来より数桁感度が良いことがわかった。粒子崩壊による暗黒物質生成が、従来と異なりeV領域の暗黒物質に対しても可能であることが分かった(2301.08735, 2301.10757)。特に、50年ほど前のパラダイムである、熱い暗黒物質は電子ボルトくらいの質量を持つとされている。しかし、必ず熱く生成されると考えられており、暗黒物質の知られている性質を満たさなため、他の候補が考えられるようになった。2301.08735ではこのような熱いと思われたeV付近の質量を持つ暗黒物質は実は冷たく生成され、特別な存在であることがわかった。一方で、赤外線背景放射の観測から、このような暗黒物質が示唆されている。
また、本研究課題に関連する研究として、他の12本の論文を発表している(雑誌掲載、アーカイブ掲載含む)。国際・国内会議で関連、研究成果を12回発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナの影響で海外出張などができずにいたため、当初予定されていた国外のエキスパートとのコミュニケーションが必要な方向の研究が遅れているが、それ以外の予定していた方向では予定以上に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2208.05975に基づく観測を今後行っていきたい。今後、加速器実験における暗黒物質探索の議論を続けていきたい。また、崩壊による暗黒物質生成の関連研究を行っていきたい。
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Causes of Carryover |
コロナの影響により、予定していた海外出張などができなかったため。
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Research Products
(28 results)