2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K14034
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
伊藤 飛鳥 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 量子場計測システム国際拠点, 研究員 (00884462)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 重力波 / マグノン / 準安定真空 / アクシオン |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、磁場下に置かれた電子スピン(マグノン)を用いた重力波の検出理論を構築した。重力波探索に特化したマグノン実験のセットアップを明らかにするために、Fermi normal coordinateに現れる無限の高次項を厳密に取り扱い、定式化した。結果、将来的にマグノンを用いた重力波探索の感度を飛躍的に上昇させることが可能であることを理論的に示した。研究成果は論文としてアーカイブに投稿済みである。[Asuka Ito, Jiro Soda, "Exploring High Frequency Gravitational Waves with Magnons," arXiv:2212.04094 [gr-qc].]
また、準安定真空による超対称性の破れに伴う第一種相転が予言する重力波について研究した。結果、DECIGOやLISAといった重力波干渉計を用いて超対称性の破れのメカニズムを検証し得ることを示した。[Chong-Sun Chu, Asuka Ito, "Gravitational Waves in Metastable Supersymmetry Breaking," Phys.Rev.D 105 (2022) 12, 12, arXiv:2201.11323 [hep-th].]
アクシオンダークマター中を伝播する光や、重力レンズにおいて、見かけ上の超光速性があらわれることが知られていた。 これらの物理が何を意味するのか解明するための第一歩として、IRの物理と伝播速度の関係性について研究した。[Asuka Ito, Teruaki Suyama, "Superluminal propagation from IR physics," Phys.Rev.D 107 (2023) 1, 1, arXiv:2210.15213 [hep-th].]
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度は、重力波がフェルミオンのスピンに及ぼす影響について、Fermi normal coordinateに現れる無限の高次項を含む形での理論的定式化に成功した。この理論的定式化を用いて、磁場下での重力波スピンモリー効果の研究を進めていく予定である。
また当初の研究計画になかった研究も進めることができて、準安定真空による超対称性の破れからの重力波生成についての研究や、IR物理と波の伝播速度についての研究も進めることができた。 これらの研究成果から、当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、論文[Asuka Ito, Jiro Soda, "Exploring High Frequency Gravitational Waves with Magnons," arXiv:2212.04094 [gr-qc].]の成果を用いて、磁場下での重力波スピンメモリー効果について研究を進めていく予定である。またその現象を用いた重力波観測方法についても示唆を与えたいと考えている。
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Causes of Carryover |
コロナの影響で、海外渡航の頻度が減少したことが主な原因である。すでにコロナ規制が緩和され始めているので、来年度以降は積極的に国内、国外へ出張して、国内外の研究者と共同研究を進めていきたいと考えている。
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