2022 Fiscal Year Research-status Report
Jet thermalization in quark-gluon plasma
Project/Area Number |
22K14041
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Research Institution | Akita International University |
Principal Investigator |
橘 保貴 国際教養大学, 国際教養学部, 助教 (60877760)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 高エネルギー重イオン衝突 / クォーク・グルーオン・プラズマ / ジェット / 相対論的流体力学 / 量子色力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
高エネルギー重イオン衝突反応において実現する クォーク・グルーオン・プラズマ (QGP) 流体の中を,高エネルギーの粒子束であるジェットが通過する事象に注目し,QGP-ジェットの相互作用,そして特にジェット粒子のQGP媒質中における熱平衡化の過程の理解に向けた研究を進めた.本年度は,簡単化した設定でのシミュレーションを行うことで,ジェットからのQGP流体中へのエネルギー運動量流入によって媒質応答が生じる過程の詳細や,背景QGPの流速の分布が,ジェットの角度分布の大角度領域において特徴的な構造の変化をもたらすことを明らかにし,これが実際の実験で観測されている可能性があることを示唆した.また,現実的なモンテカルロイベントジェネレータを使用したジェットがQGP媒質と相互作用することによるエネルギー損失の計算を行い,実験結果との系統的な比較を行った.その結果,初期の仮想度が大きな状態では相互作用が強く抑制されることを明らかにした.さらに,この効果がジェットの内部構造によって露わになる可能性を示唆した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
更なる発展としてより,現実的な模型を使用して媒質応答を実装・趣味レーションを行えるようにする計画はやや遅れいている.しかし,モンテカルロイベントジェネレータを使用したことによるジェットのハードな成分を特徴付ける測定量を通した,より詳細なジェット-媒質相互作用の理解が急速に進んだ.これは,媒質応答についての情報を実験結果から引き出すという研究においても不可欠な重要な進歩である.
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Strategy for Future Research Activity |
ハードな成分にも注目をし,光子-ジェット生成イベントなどを活用してジェットの内部構造を詳細に調べ,ジェットシャワーの媒質中での発展に関するより正確な理解を目指す.これは媒質応答のソースとなるエネルギー運動量の流入を実際的な記述により明確にする. また現実的な模型を使用して媒質応答の効果を実装により,実験結果と直接的な比較が可能な量の計算を可能にすることを目指す.
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Causes of Carryover |
当初本年度中の使用のために購入予定だった製品 (オンラインサービス) を,次年度に利用する必要が生じたため.
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Research Products
(9 results)