2022 Fiscal Year Research-status Report
新材料を用いたフレキシブルな常温硬化シンチレータの実用化を目指した基礎研究
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22K14055
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Research Institution | National Institute of Technology, Toyama College |
Principal Investigator |
清野 義敬 富山高等専門学校, その他部局等, 助教 (30934773)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | プラスチックシンチレータ / 放射線検出器 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年のコライダー実験やニュートリノ実験分野において、微細分割シンチレータ検出器の需要が高まっており、大量生産性と形状工夫の両立した、安価なプラスチックシンチレータが求められている。そこで本研究ではフレキシブルな常温硬化型プラスチックシンチレータの研究開発を行っている。常温硬化プラスチックシンチレータは従来の熱硬化プラスチックシンチレータと異なり、作製において高温設備や精密な温度コントロールの整備が不必要なため、安価で量産性が高く、検出器の大規模化が可能である。また、本研究で開発しているプラスチックシンチレータは硬度を調整することによって、柔軟性を持つ「柔らかいプラスチックシンチレータ」という斬新な特性をもっている。この特性を利用すれば広いシート状に硬化させ、切り出すことにより、一度で大量の微細なシンチレータを作製する方法も検討することができると考えている。その他にも常温硬化プラスチックシンチレータは熱に弱い機能性添加物を使用できるという特徴も備えている。そのため本研究の開発が進めば粒子検出効率を向上させた機能性シンチレータを低コストで開発することができると考えている。 本研究ではフレキシブルな常温硬化型プラスチックシンチレータの実用化および様々な実験への応用を見据えて、シンチレータの基礎性能向上に取り組んでいく。試作したプラスチックシンチレータの測定環境構築に必要な機器類については準備を整えることができており、データ解析環境についても順調に整備が進んでいる。 今後は試作プラスチックシンチレータの基礎性能を向上させるための作製手順最適化を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プラスチックシンチレータの測定環境構築において、購入および共同研究者からの借用によって必要な測定機器類を全て揃えることができた。試作プラスチックシンチレータの基礎性能評価を行うために必要な放射線源についても用意が完了しており、プラスチックシンチレータの測定環境構築が順調に進んでいる。また、測定データを解析するための準備についても機材を購入し、ソフトウェアの用意などの解析環境整備が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
試作プラスチックシンチレータの作製環境整備を進め、基礎性能を向上させるための作製手順の最適化を行っていく。また、プラスチックシンチレータの性能向上に大きく寄与することが期待できる撹拌脱泡機についてはデモ機を借用するなどして実際に購入する前により最適な機種選定が行えるようにする計画である。
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Causes of Carryover |
本研究課題開始後すぐにシンチレータの性能を大きく向上させることが期待される撹拌脱泡機の購入をする計画であったが再度の情報収集や共同研究者との議論により、本研究により最適な機種がある可能性ができたため購入する機器を慎重に選定し、次年度に購入することとした。この撹拌脱泡機の購入に次年度使用額をあてる。
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