2023 Fiscal Year Research-status Report
Searching for the stochastic background gravitational waves by evaluating the Earth's resonant magnetic noise in the international observatory network
Project/Area Number |
22K14062
|
Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
鷲見 貴生 国立天文台, 重力波プロジェクト, 特任助教 (30822283)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
|
Keywords | 背景重力波 / シューマン共振 / KAGRA / 地下実験 / 環境磁場 |
Outline of Annual Research Achievements |
シューマン共振磁場観測においては、積雪期のため2022年12月に一時的に回収した地上観測機器を、2023年5月に構築し観測を再開した。その後約2ヵ月間のデータ取得の後にデータ収集装置にトラブルが生じたため、国内代理店に輸送・点検を行った。調査の結果、ソフトウェア上の問題であることが判明し、対策を施した。2023年10月に再度、神岡地上におけるセットアップを構築し観測を再開した。その際、積雪期にも観測を継続できるようにケーブルを保護管に通したうえで地中に埋設し、データ収集装置用に雪除け屋根を設置した。さらに観測データを自動で回収・モニターするシステムを構築し、2023年末から2024年春にかけて殆どメンテナンスフリーで運用することができた。 背景重力波探索の見積もりについては、昨年度に行った2検出器解析(VK)を4検出器解析(HLVK)に拡張し、時間変動を含む磁場観測の実データを用いて天体起源背景重力波を想定した解析を行い、7月の国際会議にて口頭発表した。また重力波源として初期宇宙の真空相転移を想定した解析を行い、11月の国際会議にてポスター発表を行った。 重力波観測としては、KAGRAは2023年5月末から4週間、LIGO-Virgo-KAGRA国際共同重力波観測(通称O4a)に参加した。本研究課題ではその間、神岡地上におけるシューマン共振磁場観測を同時に実施し、KAGRA主干渉計信号(重力波チャンネル)への環境磁場カップリングの評価を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
神岡地上におけるシューマン共振磁場観測、背景重力波探索の見積もり、KAGRA主干渉計信号への環境磁場カップリングの評価ともに当初の予定通り遂行でき、それぞれ成果が得られているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
神岡地上におけるシューマン共振磁場観測については、自動で安定的にデータ取得を継続できる体制が整ったため、低頻度のメンテナンスにてこれを継続する。 背景重力波探索の見積もりについては、これまで重力波パラメタとして特定の値を想定した解析を行ってきたが、これを様々なパラメタ空間に対する網羅的な評価に拡張し、シューマン共振磁場の影響が大きく/小さくなる領域を調査する。 今後の研究の推進方策としては、KAGRA主干渉計信号への環境磁場カップリングの評価と実際の背景重力探索解析が主となる。定期的に磁場雑音注入試験を実施しカップリング評価の 精度を上げ、2024年末開始予定(O4b)および2027年開始予定(O5)のLIGO-Virgo-KAGRA国際共同重力波観測にてコヒーレント解析を実施する。
|
Causes of Carryover |
出張の際に実際にかかる費用は流動的であり、年度始まりの時期に1円単位の精度で見積もることは不可能である。本研究日は基金であるため、端数を年度内に使い切るのではなく次年度に繰り越す判断をした。繰越金は次年度の出張や消耗品(ケーブル、記憶媒体など)に使用する予定である。
|