2022 Fiscal Year Research-status Report
Finding rare objects with artificial intelligence and big data from Subaru Telescope
Project/Area Number |
22K14078
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
嶋川 里澄 国立天文台, ハワイ観測所, 特任助教 (20823321)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 銀河天文学 / 機械学習 / データ天文学 / 市民科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度はすばる望遠鏡に搭載された超広視野可視主焦点カメラである「ハイパーシュプリームカム」で取得された大規模データに基づき、2000万天体を超える銀河の画像データの作成、うち一部を活用したデータ天文学研究を行った。またこの際、大容量データの保存のため、本事業の予算を活用してデータサーバーを購入した。 初年度の初期成果として、同装置で取得された約55000天体の近傍銀河に対して、渦巻銀河の機械学習分類を実施し、さらに既存の紫外域から赤外までの観測データによって求められた物理情報カタログと照らし合わせることで、貧血渦巻銀河の系統探査を実施した。渦巻銀河は渦状構造の形成論に基づき、星形成銀河であることが共通認識とされているが、その中に星形成を終えた渦巻銀河「貧血渦巻銀河」がわずかに存在することも観測的に知られている。本研究ではすばる望遠鏡ビッグデータと機械学習を存分に活用することで、この希少な貧血渦巻銀河を、未だかつてない規模である1000天体超も発見することに成功した(Shimakawa et al. 2022 PASJ 74 612)。 現在は、本研究をより大規模な140万天体の銀河に対して実施し、形態分類研究の拡張を行っている最中で、より大規模な希少天体探査の結果が次年度に得られると期待している。実際、本年度末に暫定結果を日本天文学会で報告している。 また本事業のこれまでの結果と今後の計画について、二件の集会で招待講演で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書に記載の通り、初期成果として査読論文1編発行することが出来た。大規模データから実際に必要となるデータの抽出と画像生成においても予定通りに進んでおり、次年度の本解析に向けた準備を順調に終えることが出来た。 また予算執行について、計画当初は初年度に実行容量100TBのデータサーバーを購入することを予定していたが、より合理的な予算執行を行うべく、初年度は実行容量40TB(RAID6時)の購入に抑えて残り予算を次年度に回すことで、段階的に拡張していく方針に変更した。
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Strategy for Future Research Activity |
計画通り、初年度で本解析に向けたデータ準備と整備をおおよそ完了することが出来た。今後2年間で、初年度で整えた大規模データを実際にさまざまな機械学習モデルに適用し、より多くの研究成果を上げていきたい。2023年度は現在進行中の140万天体に対して進める機械学習分類の研究成果をまとめ、1編以上の国際査読論文の受理を目指す。また得られた成果を二件以上の集会で口頭発表し、成果普及に努める。
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Causes of Carryover |
計画当初は初年度に実行容量100TBのデータサーバーを購入することを予定していたが、より合理的な予算執行を行うべく、初年度は実行容量40TB(RAID6時)の購入に抑えて残り予算を次年度に回すことで、段階的かつ融通的に拡張していく方針に変更した。これにより、次年度は初年度の残り予算と合わせることで、使用データ容量を随時モニターしながら、必要な際に必要な分だけデータを拡張することができ、余分な経費を費やすリスクを避けることができる。
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