2022 Fiscal Year Research-status Report
An unified description of galactic star formation based on the origin of giant molecular clouds
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22K14080
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
小林 将人 国立天文台, 科学研究部, 特別客員研究員 (10837454)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 大質量分子雲 / 大質量星形成 / 銀河進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
観測される銀河の星形成活動は, 星間媒質の物理状態から予想されるものと比べ非常に非効率と知られており(典型的に数%),この非効率な星形成活動の起源解明は銀河進化学における最重要課題の一つとなっている. 星形成の初期条件は星の母天体である分子雲が決定しており, 特に分子雲の中でも10万太陽質量以上の大質量分子雲が, 銀河の熱的・化学的進化に多大な影響を及ぼす大質量星の生成現場である.したがって銀河の非効率な星形成過程を理解するために, 大質量分子雲の進化過程の解明が不可欠である. しかし大質量分子雲の形成には 2つの阻害要因があり, 小質量分子雲と比べてそもそも形成条件が未だ明らかでない. そこで本研究では輻射磁気流体シミュレーションを用いて分子雲進化を系統的に計算し, これを半解析的理論モデル・および最新のALMA観測と比較する.これにより大質量分子雲の起源・大質量星の形成条件を解明し,銀河進化過程を統一的に明らかにすることが目標である. 本年度は主に二相化した水素原子ガスから分子雲が形成する状況を,磁気流体シミュレーションで調べるために,初期条件生成を行った.熱的不安定ガスから二相化する過程を計算し,特に様々な磁場構造を持った環境に対してその初期条件を生成した.現段階では質量が不足しており,まだ大質量分子雲にまで成長が至っていないが,二次精度で安定的に計算ができる状況になった.またより高速度なガス集積の状況のテスト計算も進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
40pcスケールを,公開輻射磁気流体シミュレーションコードAthena++を用いて計算を進めた.特に大質量分子雲は希薄な水素原子ガスではなく,二相化した高密度な水素原子ガスから形成されていると観測的には示唆されているため,これに近しい二相化水素原子ガスを計算の初期条件として生成した.
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Strategy for Future Research Activity |
大質量星形成を追跡するためには,高解像度化が必要である.しかし現状の計算を大規模拡大するだけでは年度内での終了が不可能なので,3次精度化して小スケールの乱流散逸を抑制するなど,高解像度化と並行して行い,単純な拡張による計算コストよりも少なくし,実施可能な状況に進める.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス流行による国際学会の延期などにより,当初予定していた旅費執行が無く,これらは翌年度に実施となった.また計算準備に必要な初期条件の生成に,現有計算資源でのテストを当初予定以上に丁寧に実施する必要性が生じ,追加の計算資源発注は翌年度に改めて行うことになった.
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