2022 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of dust dynamics in protoplanetary disks with magnetohydrodynamic simulations
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22K14081
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
森 昇志 東北大学, 理学研究科, JSPS特別研究員(PD) (30867429)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 惑星形成 / 原始惑星系円盤 / 磁気流体力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
惑星形成過程において、原始惑星系円盤のダスト運動を支配するガス運動は謎に包まれており、惑星形成過程解明の阻害となっている。太陽系の隕石学的証拠からは、ダスト粒子が動径方向に大きく移動したことが示唆されている一方で、乱流が弱かったことが示唆されている。このことは多様なガス運動が起きたことを示唆する。本研究では、非理想磁気流体力学効果を全て考慮することで、層流的に降着する原始惑星系円盤の最新の描像に基づいて、円盤のダスト輸送過程を明らかにする。特に乱流的運動以外にも、大規模な動径方向の流れや円盤風による鉛直方向の流れを考慮した、高次元なダスト輸送過程の理解を目指す。
本年度は主に本研究課題の主軸となるシミュレーションコードの開発を行なった。まず円盤の密度構造を固定し、星からの照射による照射加熱と円盤の粘性に起因する粘性加熱を考慮した数値計算テストを行なった。照射加熱のみを考慮した計算では解析モデルと完全に一致することができた。また、照射加熱を粘性加熱を考慮した計算では、シミュレーションの方が10%ほど温度が高くなるものの全体的な温度構造を再現できており、十分を示した。そのことから、少なくとも静的な円盤構造に関しては、十分温度構造を再現できることを確認した。 また磁場を考慮しない場合のシミュレーションを行なったところ照射不安定に似た現象が発生した。これは星からの照射加熱に伴い温度の波が内側に移動するというものである。最新の研究ではその乱流強度の原因となるような不安定性は成長しないことが示唆されている。どちらの手法がより現実的かは依然として明確ではないものの、このことは照射不安定の有無はシミュレーションの設定に敏感であり、慎重に手法を選択する必要があることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
輻射輸送入りの磁気流体シミュレーションを実行し、原始惑星系円盤の照射不安定に関するテストシミュレーションを行なった。現状は先行研究で示されている照射不安定に関する振る舞いが再現できずにいる。どちらの手法がより現実的かは依然として分からないものの、このことは照射不安定の有無はシミュレーションの設定に敏感であり、慎重に手法を選択する必要があることを示唆している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は磁場入りの輻射流体シミュレーションに着目してゆく。磁気流体シミレーションで得られた知見を反映させることのできる、2次元ダスト進化モデルの枠組みを作る。円盤の鉛直方向に依存する形で円盤の平均速度・二乗平均速度を与える。その下で、ダストの移流拡散方程式を解く。これと並行して輻射輸送入り磁気流体シミュレーションを実行し、様々な場合におけるシミュレーション結果を蓄積してゆく。
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Causes of Carryover |
コロナにより一部予定していた渡航が延期になったことと、計算機の購入を予定していたが計算機の性能が定まらず購入を先送りにしたため。
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Research Products
(5 results)