2022 Fiscal Year Research-status Report
Characterization of close-in rocky exoplanet: Current/past water amount
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22K14090
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
伊藤 祐一 国立天文台, 科学研究部, 特任研究員 (20823264)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 系外惑星 / 岩石惑星 / 大気 |
Outline of Annual Research Achievements |
1、主星近傍の系外岩石惑星の持つ大気スペクトル推定、2、大気観測スペクトル解析方法の開発、主にこの2点についての検討を行った。 1の検討では、主星近傍の系外岩石惑星のマグマの組成、特に二酸化炭素や水の割合が大気スペクトルにどのように影響するか調べた。その際、独自に開発したマグマへの二酸化炭素や水の溶け込みを考慮した大気マグマ結合モデルを用い、第1次近似として等温の大気構造を仮定して検討した。特に揮発性の物質である二酸化炭素や水がマグマ中で少ない場合、惑星大気スペクトル中ではSiOやNaなどの岩石蒸気の特徴が支配的になっていた。一方、非常に二酸化炭素や水がマグマ中に多い場合には、二酸化炭素や水の特徴のみが大気スペクトルに現れることを明らかにした。その中間的な量の揮発性の物質がマグマ中に溶け込んでいる場合は、岩石蒸気及び揮発性物質の両方の特徴がスペクトルに現れることがわかった。関連して、本研究者がCo-Iである宇宙望遠鏡JWSTを用いた主星近傍の系外岩石惑星55 Cnc eの大気スペクトル観測が実施された。現在データ解析中であるが、本理論モデル検討と観測の比較から、マグマ中の揮発性元素の制約が期待される。2の検討では、系外岩石惑星の大気を観測スペクトルから理解する上で重要となるスペクトル解析手法を開発した。具体的には、従来の解析方法では物理的根拠なく存在を仮定されていた雲の影響について、雲物理を基にしたモデルを解析手法の中に取り込んだ。本解析手法を用いて擬似観測スペクトルの解析を行ったところ、従来の方法と比べ、雲形成に関連した大気の特徴である温度や凝縮元の気体の情報をより雲物理に則した形でスペクトルから決定できることを示した。本解析手法は、実際の大気スペクトルから主星近傍の系外岩石惑星の水量を制約する際、その精度向上に貢献すると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題である、主星近傍の系外岩石惑星の水量の観測的特定可能性評価に向け、第1次近似としての等温の大気構造を仮定して、現在の水量がどの程度スペクトルに影響するかを調べた。等温の大気構造は理想的な条件であるが、ある程度水量が多い場合には水由来の特徴がスペクトルに反映されることを明らかにした。この程度は、ターゲット惑星やその主星の大きさや観測精度に依存すると想定される。この検討をまとめ、科学雑誌への投稿論文を執筆中である。加えて、本研究者がCo-Iである宇宙望遠鏡JWSTを用いた主星近傍の系外岩石惑星55 Cnc eの大気スペクトル観測が実施された。共同研究者と現在データ解析中である。また、共同研究者とともに大気スペクトル解析手法を開発した。低温惑星の場合、仮に大気中に雲が存在する場合にはスペクトルから水量推定を行う際に、大きな不確定性が生じうる問題があることを共同研究者と議論した。申請時には、雲の存在しない高温惑星に着目し、雲を考慮した大気スペクトル解析手法について開発する予定はなかったが、低温な観測ターゲットが多いことも踏まえ、本検討を低温天体に拡張することに向け、雲による不確定性を減らすために共同研究者とこの問題に取り組んだ。開発した解析方法では、これまで雲の大きさや分布が自由パラメータであったところを、雲物理を考慮した雲形成モデルを組み込むことで、雲形成に関連した大気の特徴である温度や凝縮元の気体の情報をより精度良くスペクトルから決定できることを示した。この検討は、科学雑誌に投稿済みであり、現在査読中である。以上のことから、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
宇宙望遠鏡JWSTを用いて観測された主星近傍の系外岩石惑星55 Cnc eの大気スペクトルから、水量の特定を試みる。共同研究者と共に、観測スペクトルとリトリーバル法から大気組成及び大気の温度構造を推定する。その後、その観測された大気温度構造を用いて、本研究で現在までに開発した大気マグマ結合モデルをさまざまなマグマ組成での大気組成を計算することで、最終的にJWSTの観測から推定された大気組成と整合的となるマグマ組成を推定する。以上の段階を踏むことで、主星近傍の系外岩石惑星55 Cnc eのマグマ中の水量を制約する。また、現在の進捗では典型的な特徴(惑星半径・質量・平衡温度)を持つ主星近傍の系外岩石惑星についての計算を行なっているが、JWSTで観測された55 Cnc e以外の主星近傍の系外岩石惑星についても本大気マグマ結合モデルを用いて、大気スペクトルを計算し、マグマ中の水量の観測的特定可能性評価を行う。もし、可能であるようなら、JWSTを用いた観測提案を行う。
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Causes of Carryover |
申請時から経費が減額されていたことを踏まえ、出張用の旅費に影響がでないよう、一部の本年度分を次年度分の物品費として繰り越すため。
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