2022 Fiscal Year Research-status Report
浅部から深部まで一貫した火山性地震の検出によるマグマ供給プロセスの解明
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22K14113
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Research Institution | Hot Springs Research Institute of Kanagawa Prefecture |
Principal Investigator |
栗原 亮 神奈川県温泉地学研究所, 研究課, 技師 (50880837)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 深部低周波地震 / 火山性地震 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は主に霧島山と箱根山の火山性地震の解析に取り組んだ。 霧島山において、深部低周波地震の解析を実施し、2018年の霧島山新燃岳噴火前後の期間における深部低周波地震の活動を明らかにした。この期間の地震数は2011年噴火時と比べると相当少ないが、一部の群発的な活動が噴火活動と関連していることがわかった。この結果は国内の学会で発表するとともに、国際誌に投稿し掲載された。 また、箱根山において、大涌谷近傍の極浅部で発生する微小な火山性地震の解析に着手した。この地震は通常の地震と比べて、P波とS波の区別が難しい波形特徴を保有している。また震源決定を行ったところ、箱根山では3-5km程度の深さでの地震は多く発生することは知られているが、この地震は地表から0-1kmで発生していた。波形が観察できる観測点が少なく、波形も不鮮明なことから精度は保証できないものの、震源位置は大涌谷の噴気地帯の内部かそのやや西側に決まった。2015年以降の期間で連続データからこの地震を探したところ、2015年では噴火前後の期間に、他の深さの火山性地震と混在して多発しているが、2020年以降では他の火山性地震を伴わず、この浅い地震だけが非常に活発化していることが明らかになった。特に2022年の5月-7月ごろにかけて、この地震の数が非常に多くなっていることがわかった。当期間に他の火山性の変動は観測されていないことから、極浅部の熱水活動による地震であると現時点では推定している。この結果について、国内学会で発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
霧島山で実施していた深部低周波地震の解析が概ね完結し、2018年噴火前後では、2011年噴火時と比べて、発生数は少ないものの、地表火山活動と対応があることを明らかにすることができた。また、箱根山では当初想定していなかった極浅部の地震を発見し、その震源位置の推定や2015年噴火以降の長期的な活動推移を明らかにすることに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、関東地方周辺の火山を主な対象として、浅部から深部に至る火山性地震の長期的な活動推移の解析に取り組む。 特にメカニズムが判明していない、箱根山の極浅部の地震についての解析を進める。また、全国の他の火山で類似の極浅部での地震が発生しているか調べる。 また、近年機械学習の地震学への応用が進みつつあり、特に大量の地震の検出においては有効なため、微小な火山性地震の検出・震源決定への適用についても本課題で試験・検討する。
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Causes of Carryover |
予定していた海外出張が悪天候により航空便が欠航となったことで渡航が不可能であり、オンライン参加に急遽切り替えたことで、旅費が当初計画より大幅に支出されなかったため。今後、別の機会に国際学会へ参加することで使用予定である。
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