2023 Fiscal Year Research-status Report
浅部から深部まで一貫した火山性地震の検出によるマグマ供給プロセスの解明
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22K14113
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Research Institution | Hot Springs Research Institute of Kanagawa Prefecture |
Principal Investigator |
栗原 亮 神奈川県温泉地学研究所, 研究課, 技師 (50880837)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 火山性地震 / 深部低周波地震 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は前年度に引き続き、箱根山浅部で発生する微小な火山性地震の検出と震源決定に取り組んだ。震源決定では、振幅値を使うASL法により、大涌谷周辺の極浅部にこの地震が位置していることがわかり、この位置は2015年の噴火時に見られた傾斜変動をもたらすクラックに近いことから、このクラックと関連している可能性がある。 マッチドフィルタ法によりこの地震の検出を2014年から2023年のデータで実施した。その結果、この地震が活発であった期間は2015年の水蒸気噴火の前後の期間、2019年の火山活発時に加えて2020年から2022年の期間である。特に2022年の5月から7月にかけてが特に活発であるが、その中では1週間から1ヶ月の周期で活発化と静穏化を繰り返していた。2022年の10月ごろより地震数は減少していたが、2023年5月にも群発的な活動があった。その後の地震活動は低調であった。この2023年5月以降は箱根火山全体で通常の地震の増加、地殻変動等が観測されており、火山活動の活発化と関連していた可能性がある。
また、箱根山では深部低周波地震および深部低周波地震近傍で発生する高周波の地震の検出も実施した。これまで以上に精度の高い検出ができ、毎年の中で活動度に変化があること、これまでにも2015年の噴火前などに高周波の地震の群発的な発生が見られることがわかった。
加えて、これらの地震活動の検出プログラムを自動化したことで、現在ではこれらの地震活動の様子をほぼリアルタイムで観察することができるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
箱根山において深部・浅部ともにこれまで知られていなかった未知の浅部の火山性地震、深部の低周波地震およびその周辺で発生する高周波な地震の詳細な活動の様子がわかるようになった。浅部の地震については震源位置を決定することができた。これらの地震は当初想定していなかった地震であるが、この解析により既存地震ではわからなかった詳細な火山活動の理解が進む可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
新たな検出手法の開発・検討や、深部低周波地震の震源決定、箱根以外(富士山や伊豆大島を想定)での深部低周波地震等の解析を進める。
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Causes of Carryover |
初年度、国際学会に悪天候で航空機が欠航したことで渡航できなかった影響などにより繰越が発生している。 現在使用している計算機に不調が生じており、自動での大量の解析に支障が出てきているため、今年度に自動処理用の計算機を追加で購入する計画である。また、今年度および次年度に論文投稿料や海外学会への参加料での使用を見込んでいる。
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