2022 Fiscal Year Research-status Report
核マントル熱進化解明を目指した巨大斜長石単結晶による古地磁気強度復元
Project/Area Number |
22K14124
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉村 由多加 九州大学, 比較社会文化研究院, 学術研究員 (90911496)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 古地磁気強度 / 斜長石単結晶 / 地磁気逆転頻度 / 核・マントル境界 |
Outline of Annual Research Achievements |
地磁気強度は数万から数十万年の時間スケールで大きく変動をする。そのため、古地磁気強度の平均値を得るには、多数の信頼性の高い古地磁気強度を測定し、平均化しなければならない。その信頼性の高い古地磁気強度を与えてくれると考えられるのが、巨大な斜長石単結晶である。
巨大な斜長石単結晶を含むエチオピア洪水玄武岩において、チタン濃度の低い溶岩グループはこれまで形成年代が曖昧であった。形成年代が完全に決定されていないということは、測定される古地磁気強度の時間軸に不確定性を残すことを意味するため、問題である。本研究では、低チタン溶岩グループに属し、エチオピア洪水玄武岩における溶岩が多数累重した約2 kmの厚さを持つ露頭であるLima-Limoセクションの溶岩流を用いて高精度な40Ar/39Ar年代測定を行った。その結果、2枚の溶岩流から高精度で信頼性の高い40Ar/39Ar年代が得られた。その新しい年代と先行研究の年代から噴出年代-標高モデルを作成し、Lima-Limoセクションの溶岩流の活動年代決定を行ったところ、地磁気極性タイムスケールにおけるC12r-C12n-C11rにわたって噴出したことが判明した(Yoshimura et al., 2023, Geophys. Res. Lett. 50(8), e2022GL102560)。
また、中央インド洋海嶺では複数のサイトで中央海嶺玄武岩(MORB)が「しんかい6500」によって採取されており、一部のサイトから採取された溶岩は巨大斜長石単結晶を含んでいる。本研究ではまず、斜長石単結晶を含まないMORBを用いて岩石磁気測定および古地磁気強度測定を行った。その結果、MORBは古地磁気強度に適したサイズの磁性鉱物を含むことがわかった。また、国際標準地球磁場モデルで予測される現在の地磁気強度の0.7-0.8倍の古地磁気強度が得られた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
日本におけるヘリウム供給不足に伴い、九州大学に設置されている超伝導量子干渉磁力計(SQUID磁力計)が現在運用を停止しており、巨大斜長石単結晶を用いた古地磁気強度測定が全く実施できていないため。
|
Strategy for Future Research Activity |
現時点ではヘリウム入手の目処が立っていないが、近い将来ヘリウムを入手することができ、SQUID磁力計の運用が再開され次第、順次巨大斜長石単結晶を用いた古地磁気強度測定を行う。それまでは本研究課題を補強する研究を引き続き行う予定である。
|
Causes of Carryover |
ヘリウム供給不足に伴い、九州大学の超伝導量子干渉磁力計(SQUID磁力計)が運用を停止している。そのため、巨大斜長石単結晶を用いた古地磁気強度測定が全く実施できておらず、実験に用いるはずであった赤外線加熱装置は未購入である。ヘリウムの供給ができ、SQUID磁力計の運用が再開した際に赤外線加熱装置を購入予定である。万一ヘリウム入手の目処が立たない場合は、他に必要な実験機器を購入することを検討している。
|
Research Products
(4 results)