2023 Fiscal Year Research-status Report
火山噴出物の構造解析に基づく繰り返し爆発噴火機構の解明
Project/Area Number |
22K14130
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
松本 恵子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (10803926)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 爆発噴火 / 噴出物 / 浸透率 |
Outline of Annual Research Achievements |
ブルカノ式噴火など繰り返す爆発噴火は,火口に “蓋” が短時間で形成され破壊される過程が繰り返される.観測等に基づく従来のモデルでは,溶岩ドームなどの緻密で浸透性の低い岩体が“蓋”となってマグマからの脱ガスを阻害し,増圧により蓋が破壊されると説明される.しかし“蓋”の物質的実体は調査されておらず,なぜ爆発を繰り返すかも説明されていない.本課題では,噴出物組織の定性的・定量的解析により火口の“蓋”のガス浸透構造とそれによる爆発過程を復元し,繰り返し爆発の仕組みを解明する. 2023年度は昨年度に作製した浸透率測定装置の検証を行った.浸透率既知のサンプルを測定すると一桁低い値となった.これは,先行研究の装置と自作装置とで測定流量が異なるためだと考えられる.また,連結空隙が多く浸透性が高い試料は測定が困難であることもわかった.次年度は測定可能な範囲で自作装置での浸透率測定を行う.また,前年度明らかにした新燃岳2018年噴出物の組織解析に基づく爆発噴火メカニズムについて論文投稿し,現在修正を行っている.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
自作の浸透率測定装置による先行研究試料の測定で,浸透率が一桁小さい値になった.原因は精査中である.また論文投稿を行ったがリジェクトとなり修正中である.
|
Strategy for Future Research Activity |
新燃岳2018年の噴出物組織の記載と引張試験の結果に基づく爆発的噴火が繰り返すメカニズムについての投稿論文をアクセプトさせる.浸透率については,割れ目が多い試料のため整形が困難であったり測定レンジが大幅にばらつくことも分かったため,気泡組織の形状観察などの定性的な記載を優先させる.また短時間に爆発が繰り返され,かつ詳細な観測が行われている事例として伊豆大島1986年噴火についても組織観察を行い,他火山の事例への適用性を検討する.
|
Causes of Carryover |
学会参加費を運営費交付金で自己負担したため.また論文出版費が次年度持ち越しとなったため.
|