2022 Fiscal Year Research-status Report
Pleistocene Antarctic Polar Front reconstruction based on AI-based classification of foraminifera: Verification of long-term cooling mechanism
Project/Area Number |
22K14132
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
松井 浩紀 秋田大学, 国際資源学研究科, 助教 (90823253)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 南極前線 / 更新世 / 有孔虫 / 自動分類 / 古環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は(1)有孔虫化石の自動分類モデルの精度向上,(2)堆積物試料の年代目盛の構築,(3)予察的な南極前線の位置復元にそれぞれ取り組んだ.(1)有孔虫化石の自動分類モデルについて,産業技術総合研究所の微化石自動分類システムを用いて,8項目合計約5000枚の学習画像を取得した.テスト画像を用いた分類モデルの適合率および再現率が90%に達しなかったため,今後学習画像を追加取得し精度の向上を目指す.(2)堆積物試料の年代目盛について,約300試料から底生有孔虫化石Melonis pompilioidesを抽出し,高知大学海洋コア総合研究センターにて炭素酸素安定同位体比を分析した.得られた酸素同位体比変動曲線について,標準変動曲線LR04と対比を行い,堆積物試料最下部の予察的な年代推定(約150万年前)を支持する結果が得られた.また,約40万年前を境に,堆積速度がそれ以前よりも減少したことが明らかになった.加えて,本研究試料の近傍で採取された堆積物の年代目盛(過去約41万年間)を構築し,論文として公表した.(3)南極前線の位置復元について,従来の手法(人による分類)で過去約70万年間の浮遊性有孔虫群集を予察的に解析した.約70~40万年前には寒帯種Neogloboquadrina pachydermaが多産するのに対して,約40万年前から現代にはN. pachydermaと温帯種Globigerina bulloidesが交互に優占した.南極前線が約40万年前に大きく南下したこと,それ以降は南北移動を繰り返したことが示唆される.従来の手法による群集解析の結果は,今後自動分類モデルを検証する観点から重要である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
有孔虫化石の自動分類モデルについて,本年度中に適合率および再現率を90%以上に高めることを目指していたが,残念ながら達することができなかった.テスト画像の分類結果を基に原因の特定を進めており,学習画像を追加取得することで,早期の精度向上を目指している.一方,堆積物試料の年代目盛については,予定よりも多数の炭素酸素安定同位体比分析を行うことができ,年代目盛の不確実さを大きく減らすことができた.さらに,南極前線の位置復元について予察的ではあるが過去70万年間の変動を明らかにすることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
有孔虫化石の自動分類モデルについて,8項目の学習画像数の不均一さが精度向上を妨げていると考えている.多産するN. pachydermaやG. bulloidesの画像は容易に取得できる一方で,重要ながら産出頻度が低い浮遊性有孔虫種の画像は取得に時間を要する.今後,産出頻度が低い浮遊性有孔虫種に注力して多数の画像を取得することで,学習画像数を均一にし,分類モデルの精度向上を目指す.堆積物試料の年代目盛について,追加で約200試料から底生有孔虫化石を抽出し,炭素酸素安定同位体比の分析を進める.得られた酸素同位体比変動曲線と標準変動曲線を精密波形対比することで,約150万年間におよぶ年代目盛を確立する.南極前線の位置復元について,予察的に約150~70万年前の浮遊性有孔虫群集の解析を進める.さらに,約125~70万年前に生じた気候寒冷化との関連を明らかにする.
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Causes of Carryover |
旅費について,高知大学を訪問する費用を他経費により支出することができたため.高知大学または産業技術総合研究所を次年度訪問する旅費として使用する予定である. 人件費・謝金について,試料分割補助は予定通り実施したが,教師データ作成補助は実施できなかったため.自動分類モデルの確立を目的として,次年度は教師データ作成補助も実施する予定である.
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Research Products
(5 results)