2022 Fiscal Year Research-status Report
高速高精度切削シミュレータのための3Dモデル表現方法とブール演算方法の開発
Project/Area Number |
22K14162
|
Research Institution | Kobe City College of Technology |
Principal Investigator |
鬼頭 亮太 神戸市立工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (40909579)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 切削シミュレータ / ポリゴン / 積層 / 切削力 / 3次元化 / 3面図 / 5軸マシニングセンタ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は高速高精度切削シミュレータの開発を目的に行っている.これまで行ってきた研究開発により,2次元ポリゴンを積層することによって,3Dモデルを生成し,Vattiクリッピングと呼ばれる2次元ポリゴンのブール演算を高速に行うことができるアルゴリズムを用いて高速高精度な切削シミュレータ開発を行うことができた.しかし,この方法では2次元ポリゴンを積層しているため,2次元ポリゴンを細かく積層し,積層方向の精度を高めるとブール演算を行うポリゴンが増加し,高速性を担保できない問題点が存在した.そこで,本研究では2次元ポリゴンを積層するのではなく,3面図のように,正面,上面,側面の3つの2次元ポリゴンから3Dモデルを構築する方法の開発を行ってきた. 本年度は上記の3面図を用いた切削シミュレータ開発に関して研究を行ってきたが,結果としてこの方法では切削シミュレータ開発が技術的に難しいと判断した.3面図から3Dモデルを生成する方法に関しては,すでに開発されているため,この部分には問題はないが,3面図を生成する方法に問題があった.具体的に説明すると,3面に対して工作物のポリゴンと工具のポリゴンを用意しブール演算を行い,加工途中の3面図を生成しようと考えていたが,工具の位置や工作物の形状によってある線は隠れ線,ある線は外形線となる.この場合別けが非常に複雑で難解であり,アルゴリズムを確立するのが非常に困難であると判断した. そこで,2次元ポリゴンを積層して3Dモデルを生成する方法はそのまま使用し,来年度予定していた5軸マシニングセンタ用切削シミュレータ開発を先に行うこととし,開発を行っている.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は先行研究で開発されている3面図から3Dモデル生成の実装を行い,3軸マシニングセンタ用の切削シミュレータ開発を行う予定であった.具体的には,Vattiクリッピングを用いて,加工途中の正面図,上面図,側面図の作成と先行研究の3面図から3Dモデル生成のアルゴリズムの理解,実装を本年度実施予定であった. しかし,研究実績の概要で述べたように,3面図を作成するときに,工具の位置や工作物の形状によってある線は隠れ線,ある線は外形線となり,この場合別けが非常に複雑で難解となるため,安定したプログラムの開発は困難であると判断し,本手法の開発を断念した.そこで,前年度まで開発していた2次元ポリゴンを積層し,3Dモデルを生成する手法はそのまま使用することとした. 2次元ポリゴンを積層する方法では,積層ピッチを細かくすると,ブール演算を行う2次元ポリゴンが増加,計算時間が多くかかり,高速性を担保することができない問題点がある.この問題点の解決方法はまだ考案している途中であるため,先に次年度以降を予定していた5軸マシニングセンタ用の切削シミュレータ開発を行った. これまで開発した切削シミュレータはz方向を積層方向としており,3軸マシニングセンタでは工具の姿勢が変化しないため,工作物の2次元ポリゴンと円形状のポリゴンをブール演算すればよかったが,5軸マシニングセンタでは工具が任意の姿勢に移動するため,円形状のポリゴンだけでなく,楕円形状のポリゴンでのブール演算が必要となる.そこで,本年度は工具を任意の姿勢に移動させる部分の実装や工具の2次元ポリゴンの生成に関するアルゴリズムの設計,ブール演算時に必要な楕円と直線,円,楕円の交点算出の設計を行っていた.
|
Strategy for Future Research Activity |
上記の研究内容の変更により,今後の研究の予定も大幅に変更する必要がある.来年度は今年度行っていた5軸マシニングセンタ用の切削シミュレータ開発を中心に行っていく,また,積層ピッチを細かくし精度を向上させても高速性を担保できる方法の考案も行っていく.具体的には以下の順に行う.(1)5軸マシニングセンタに対応した工具移動の実装.(2)任意の角度に姿勢変化した工具のz方向断面形状ポリゴン生成の実装.(3)楕円と直線,円,楕円の交点算出の実装.(4)Vattiクリッピングの楕円対応.(5)切削シミュレータのメインプログラムの実装.(6)高速性を担保できる方法の考案,実装. (1)から(3)に関しては,すでに計算方法などに関して考案済みであるため,プログラムに実装するのみとなっているので,問題なく,短時間で行えると考えられる.(4)に関しては,これまでの研究で,Vattiクリッピングを円弧に対応させており,その方法を応用することによって,楕円にも対応できると考えられる.(5)は3軸マシニングセンタ用のメインプログラムを応用できる.また,5軸マシニングセンタのGコードパーサーに関しては,共同研究先の企業から提供いただけることが決まっている.(6)の高速性を担保できる方法の考案に関してだが,ここに多くの時間がかかると予想されるため,これまでの(1)から(5)を行いながら方法の考案を行っていく.
|
Causes of Carryover |
少額ではあるが次年度使用額が生じた.原因としてはさまざまな物品の購入費の端数によるものである.次年度で使用するが少額であるため使用計画に変更はない.
|