2022 Fiscal Year Research-status Report
トポロジー最適化に基づく音響メタマテリアルのマルチスケール設計法の構築
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22K14166
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松島 慶 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任助教 (60943537)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 音響メタマテリアル / トポロジー最適化 / マルチスケール / 最適設計 / 散乱解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は新しいマルチスケールトポロジー最適化アルゴリズムを用いた革新的な音響メタマテリアルの設計手法の構築を目的とするものである.研究方針は(1)境界要素法と散乱行列法に基づく大規模複雑構造の散乱解析手法の構築,(2)単位構造とマクロ構造の同時最適化アルゴリズムの開発,(3)ミクロ・マクロ構造中の音の共鳴・散乱の連成によるメカニズムを利用した次世代の遮音構造の設計への応用,である. 本年度は主として(1)および(2)の研究に取り組んだ.まず,空気中の弾性材料の散乱特性を表す散乱行列について,その計算方法の検討を行った.特に,解析的に行列成分が計算できる例として円形形状の散乱体に関する議論を深く行った.このような系では散乱特性が形状変数に関して陽に書き表されることを明らかにし,これを利用した最適設計法を考案した.この提案法を用いて多方向音響クローキング構造が実現できることを示し,その成果が論文誌Scientific Reportsに掲載された.また,同様の円形多層弾性体で構成される非エルミート系が,特異的な固有値縮退を引き起こす例外点を示すことを明らかにし,その成果は論文誌Physical Review Bに掲載された.最後に,近年注目を集めているParity-Time対称 (PT対称) 系に関してもトポロジー最適化を適用し,一方向的クローキング現象が実現できることを示し,その成果は論文誌Optics Lettersに掲載された.以上の成果は本研究課題の目的であるマルチスケール最適化アルゴリズムの構築の足掛かりとなるものである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は主として散乱行列が解析的に求まる系を対象として,その散乱特性の数値計算法と最適設計手法の構築を行った.本年度行った研究から得られた知見は本研究課題達成のために非常に有意義なものであり,研究計画に沿ったものである.また本年度の研究成果はすでに3報の論文誌に掲載されており,当初の計画以上に進展していると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,現在までに得られた知見をもとに,主として単位構造とマクロ構造の同時最適化アルゴリズムの開発に着手する予定である.手法として,レベルセット法に基づくトポロジー最適化法を用いる予定であり,これに要する設計感度の導出とその実装が必要となる.まずそれらの妥当性の検証を行い,その後に音響メタマテリアルの設計に取り組む.
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Causes of Carryover |
前年度の購入を予定していた計算機の購入を次年度に見送ったため,次年度使用額が生じた.次年度はこの計算機の購入を主として予定する.
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Research Products
(13 results)