2023 Fiscal Year Annual Research Report
トポロジー最適化に基づく音響メタマテリアルのマルチスケール設計法の構築
Project/Area Number |
22K14166
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松島 慶 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (60943537)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 音響メタマテリアル / トポロジー最適化 / マルチスケール / 最適設計 / 散乱解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、革新的な機能を有する音響メタマテリアルの設計のための新たなマルチスケールな トポロジー最適化アルゴリズムを構築することを目的とするものである。本年度は、周期構造中を伝搬する波の数値計算手法の構築および境界積分方程式に基づく構造最適化手法の開発に取り組んだ。 具体的には、2次元Helmholtz方程式とBloch条件に支配される境界値問題の固有モード解析に関する研究を海外の研究者との共同により実施した。この系の固有モードの遠方での境界条件が通常用いられている放射条件では不十分であることを発見し、Green関数の考察に基づいて新たな定式化を提唱した。これによって、従来議論されていた固有モード解析が限定的なモードのみを扱えていたことを示し、本研究はより一般的な条件下でモード解析を行う手法を構築した。本研究成果は国際誌に投稿中である。 また、構造最適化に関しては境界積分方程式に支配される状態場を引数とする目的汎関数の感度解析と、その正則性に関する考察を行った。有限要素法に基づく構造最適化で経験的によく知られる数値不安定性が境界積分方程式法(境界要素法)においても発生することを確認し、これが形状導関数(Frechet微分)の正則性に由来することを明らかにした。これに基づき、新たな正則化法を適用することで数値不安定性を回避する手法を提案した。本成果は査読有論文誌に掲載済みである。 研究期間全体を通じて、マルチスケール系、とくに多数の散乱体で構成されるマクロ構造中の散乱解析と周期系における分散特性を解析するための数値計算手法の構築がおおむね完了し、形状・トポロジー最適化に関しても一定の結果を得ることができた。
|