2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K14172
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Industrial Technology Research Institute |
Principal Investigator |
齋藤 庸賀 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 研究開発本部機能化学材料技術部プロセス技術グループ, 副主任研究員 (90806001)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 摩擦 / 超低摩擦 / トライボフィルム / DLC / ZrO2 / エタノール |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度~2年目にかけての研究目的は、「超低摩擦発現メカニズムの解明」であり、初年度は評価システムの構築、評価方法の確立を軸として取り組んだ。 具体的には、光学顕微鏡下において摺動面を観察可能な摩擦評価システムを構築した。当初はラマン分光分析装置内での取り組みを検討していたが、試験雰囲気の細かな制御が困難であり、様々な条件下で実験を続けることが難しいと判断した。そこで、雰囲気による影響を把握するために、より簡便に雰囲気制御が可能な実験システムの構築を目指し、光学顕微鏡によるIn-Situ観察摩擦試験へと計画を変更し、実験を行った。 結果①試験システムの構築:摩擦試験中における情報として、摩擦力、垂直荷重、テーブル位置情報、摺動界面の観察像を連動して取得可能なシステムを構築した。また、雰囲気調整には2つのノズルを用い、摩擦試験環境の湿度、エタノール量をコントロール可能であることを明らかにした。 結果②雰囲気湿度の影響:構築したシステムを用いて実験を行い、雰囲気湿度がトライボフィルの形成に影響を及ぼしていることを確認した。しかしながら、現行のシステムにおいては、摩擦試験部位がわずかなスペースしかないために、試験環境下の微細な湿度変化を記録することはできておらず、追加のセンシングシステムが必要であることが明らかとなった。この点については、雰囲気導入ライン上に雰囲気の状態を記録すためのタンクを設け、そこに貯めた気体を試験環境に導入できるよう、改良する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していたラマン分光分析装置において、レーザー光路部にトラブルが生じた。原因は解明できなかったが、実験時の雰囲気が流量次第で光路部に影響を及ぼしてしまったことが考えられ、安定した試験方法の構築に時間を割かれた。 また、世界的な流通トラブルにより、購入を検討したアンプ等の目途が立たず、購入物品の遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
光学顕微鏡環境下における新たな評価システムが構築できたため、In-situ摩擦試験時における動画解析を遂行し、トライボフィルムの形成過程の解明を進める。
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Causes of Carryover |
社会的な流通の不安定さから、購入予定の装置(システムのアンプ)の納品予定目途が立たず、備品として購入ができなかったため。2023年度にて早急に購入手配し、計画を進める予定である。
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