2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K14176
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
矢野 絢子 群馬大学, 大学院理工学府, 助教 (70816298)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 微細構造 / マイクロデバイス / 液体浸入挙動 |
Outline of Annual Research Achievements |
半導体の製造工程やマイクロ・ナノスケールのデバイス開発の分野における微細構造体の洗浄や表面処理に用いるウェット処理では,表面に化学処理を行い所望の性能や特性を付加するために極めて高い精度での液体の浸入特性の制御や処理後の他の液体への置換,さらには除去作業などが必要である.しかしながら,これらの微細な構造体の表面処理に関する流体力学的な研究は必ずしも十分に確立されていない.さらに,微細構造体に限らず被処理面の特性に応じた最適なコーティング技術は,自動車や船舶,建造物などの塗装分野など様々な場面でも利用されている.これらの分野においても錆止めや曇り止めなどの機能を与えるといった役割もあり,固気液界面が関わる流体力学問題は今後とも極めて重要な研究分野になると考えられる.そこで本研究では,微細構造物への液体の浸入特性,置換特性,除去過程をそれぞれ系統的に明らかにすることを目的としている. 本年度は特に微細構造物への液体の浸入特性について重点的に取り組んだ.1辺が15mmのガラスキューブを2つ平行に設置し,それらの隙間にシリンジポンプを用いて超純水を滴下した.ガラスキューブの側面からカメラを用いて液体の浸入特性を撮影し,ガラスキューブの隙間δと,液体の流量Qを変更しながらそれぞれの条件による挙動の違いを観察した.流量Qを固定して隙間δを変化させると,隙間が狭い場合はガラスキューブの断面積全体に液体が満たされたが,隙間が大きくなると液体が満たされる前に周囲から液体が落下した.隙間δを固定して流量Qを変化させた場合では,液体の浸入挙動に大きな影響は見られなかった.浸入挙動には隙間δが大きく関係しており,流量Qによる影響は小さいことが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度の実験にて,微細構造体内への液体の浸入特性を観察する実験装置が完成し,超純水を用いた場合の基本的な浸入特性が明らかになった.本研究の目的である微細構造物への液体の浸入特性,置換特性,および除去過程の解明の内一つ目の浸入特性が明らかになったため,次年度はこれを基準として他の液体を用いた場合の浸入特性や,他の液体への置換特性の観察が可能となる.
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Strategy for Future Research Activity |
微細構造体内に浸入した液体の他の液体への置換特性の解明に取り組む.例えば薬液による表面処理による反応を停止させる場合など,一度微細な構造物内に薬液を浸入させた後に,その薬液を超純水やIPAなどの液体で置換することが想定される.この場合は,最初の薬液が後の洗浄液に置き換わる様子を観察する必要がある.これには蛍光法を採用する.例えば,先に浸入させる液体に蛍光剤を混合し,その後で蛍光剤の混合されていない液体で洗浄を行う.こうすることで蛍光強度の変化から,微細構造体内で液体がどのように置換されているかを定量的に把握することができる.本研究ではこのような液置換挙動に与える微細構造物の形状パラメータの影響や表面性状,2種液体の物性の影響等を明確にする.
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Causes of Carryover |
今年度の実験では当初の予定では液体を噴霧する予定であったが,液体の噴霧特性を計測する前に基礎的なデータを計測するため液体を滴下する方法に変更した.そのため,噴霧のためのノズルなどを購入する必要がなくなり,必要な機材がすべて購入できたため次年度の使用にすることとした.次年度以降の研究で必要となる薬液の購入などに充てる予定である.
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Research Products
(1 results)