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2023 Fiscal Year Research-status Report

Development of a new two-fluid model with rotational angular momentum conservation for superfluid helium-4

Research Project

Project/Area Number 22K14177
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

都築 怜理  東京大学, 先端科学技術研究センター, 講師 (60822153)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2027-03-31
Keywords古典系と量子系の等価性 / 量子渦格子 / 回転BEC / 粒子法 / SPH形式 / 超流動ヘリウム4
Outline of Annual Research Achievements

昨年度は、二流体モデルにおける非粘性流体の方程式(Gibbs-Duhemの熱力学的関係式で与えられる化学ポテンシャル勾配によって駆動される運動方程式)と、Gross-Pitaevskii (GP) 理論に基づく凝縮体の運動方程式(ボソン系の非線形シュレーディンガー方程式から得られる化学ポテンシャル勾配によって駆動される運動方程式)を Smoothed Particle Hydrodynamics (SPH) 形式で比較した結果、熱力学的な観点で各流体粒子の内部エネルギーがゼロであることを条件とすれば、量子圧力が無視できるような密度変化が穏やかな場合に両者の離散化式の等価性が保証されることを理論的に示した。これは、二流体モデルにおいて、Navier-Stokes (NS) 方程式と非粘性流体の運動方程式との連成は、NS 方程式と GP 方程式の連成と一定条件下で等価になることを示すものである。本年度はこれをシミュレーションによって示す第一段階として、GP 方程式における SPH 形式の有効性を実証した。2 次元調和ポテンシャル下における回転 BEC の挙動を表す GP 方程式の SPH 計算を実施し、量子渦格子現象が再現できることを示した。実験および高精度差分法の計算において過去に観測されている量子渦格子の形成過程の典型的な挙動をSPH法で計算できることを示した。渦格子の形成に要する時間は先行研究より短くなる結果を得たが、SPH 法の空間離散化の精度が高々 2 次精度であることを考えると、これは今後より高解像度化することで解決できる問題である。以上により、量子流体系と古典流体系を SPH 法により統一的に記述するフレームワーク構築の十分な見通しが得られ、今後、古典ー量子接続性の問題も議論することも期待できる。これらの成果は Physics of Fluids 35, 047102 (2023) に掲載され、同誌において Featured Articles (Journal's Best) に選出されている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

二流体モデルは液体ヘリウムの巨視的ダイナミクスを現象論的に記述する式として一般に認識されているが、これまでは対向流問題を通した議論が中心であった。すなわち、液体ヘリウムの回転問題への適用については殆ど議論されてこなかった。これは液体ヘリウムの回転問題が角運動量が支配的な現象であるからであり、量子力学的な取り扱いが難しくなるからである。申請者の提案する自転角運動量保存型の二流体モデルは、古典的な流体粒子を仮定し、その自転角運動量の保存を考えることでこのような難しさを回避できる点が画期的である。古典流体粒子の取り扱いを可能にするために SPH 法を用いており、これまでの申請者の先行研究では液体ヘリウムの渦格子現象を提案モデルによって再現するものであった。液体ヘリウムは原理的にはボーズ粒子の量子多体系であるので、回転 BEC 系の渦格子の形成過程を SPH 法を用いて再現できたことは、液体ヘリウムの本質的な振る舞いを SPH 法で記述できることが分かったことに等しい。Physics of Fluids 34, 127116 (2022) で示された等価性から、自転角運動量保存型の二流体モデルの非粘性成分の方程式は一定条件下で GP 方程式に置き換えることができるが、その場合、GP 方程式を渦力学過程、Navier-Stokes (NS) 方程式を流体力学過程と考えることができる。それらの連成計算は(単なるボーズ粒子の量子多体系としてではなく)バルクの液体ヘリウムで観測される渦格子現象を記述するものと考えられるので、置き換えを行う前の非粘性流体方程式と NS 方程式の連成計算で観測された渦格子現象と比較することで後者の妥当性を確かめることができる。本研究成果はその第一歩であり、順調に進展していると言える。

Strategy for Future Research Activity

提案する自転角運動量保存型の二流体モデルにおいて、Physics of Fluids 34, 127116 (2022) で示された等価性の成立する条件のもと非粘性成分の流体方程式をGP方程式に置き換えた場合において渦格子形成のSPHシミュレーションを実施し、置き換えを行なう前の方程式系(非粘性流体方程式と NS 方程式の連成系)で観測された渦格子と生成された渦格子を比較することで後者の妥当性を検証する。さらに、対向流問題において SPH シミュレーションを実施し、実験値や差分法による先行研究の文献値と比較することでモデルの正当性を担保する。この際、分離モデルから重複モデルへとスムーズな移行が可能なスケールモデルを開発することに主眼を置いて進める。

  • Research Products

    (1 results)

All 2023

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results)

  • [Journal Article] Numerical model of the Gross-Pitaevskii equation for rotating Bose-Einstein condensates using smoothed-particle hydrodynamics2023

    • Author(s)
      Satori Tsuzuki
    • Journal Title

      Physics of Fluids

      Volume: 35 Pages: 047102

    • DOI

      10.1063/5.0143556

    • Peer Reviewed / Open Access

URL: 

Published: 2024-12-25  

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