2023 Fiscal Year Research-status Report
Large-scale multi-phase flow simulation for foam flooding method in porous media
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22K14178
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松下 真太郎 東京工業大学, 工学院, 助教 (20883036)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 弱圧縮性気液二相流計算 / 界面活性剤 / フォーム功法 / Multi Phase-Field method |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は,(1) 吸着・脱離を考慮した界面活性剤の濃度輸送の新しいモデルの構築および検証,(2) 界面をシャープに捉えるPLIC法に基づく運動量保存形混相流ソルバーの開発およびHeight functionによる多孔体実形状中における疑似速度低減効果の検証,を主として実施した. (1)については,濃度保存性を担保することで精度を向上させる目的で濃度輸送方程式に有限体積法を導入する際に生じる数値粘性の問題を解決する全く新しいモデルを構築した.急峻なデルタ関数のプロファイルを有する界面上の濃度輸送方程式は,現実的な10のマイナス10乗などの小さい拡散係数では数値粘性が卓越することによって,濃度輸送計算の精度が著しく低下する.そこで,界面の法線方向に対して平衡状態がデルタ関数形となるように数式を構築することで,既往のモデルでは不可能であった小さい拡散係数での界面上濃度輸送方程式が精度良く解けるようにした.提案手法はJournal of Computational Physicsに提出し,現在査読中である. (2)については,よりシャープな界面表現が可能であるPLIC法を採用した運動量保存形スキームを多孔体計算に適用し,疑似速度を低減させる効果を確認した.多孔体内の流動において疑似速度が発生すると,表面張力が支配的となる流動条件でエネルギー遷移解析や物質輸送計算の精度が悪化し,多孔体特性を正しく得ることが困難となる.PLIC法によるシャープな界面表現とHeight functionによる幾何計算精度向上によって多孔体内混相流現象の定量的な議論が前進したと言える,
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
界面活性剤の濃度輸送モデルに関して,保存性を担保しながら既存モデルでは不可能であった現実的な小さい拡散係数を持つ界面活性剤の濃度輸送を解くことが可能となった.提案したモデルは革新的であり,ヨーロッパで広く知られている混相流AMRフレームワークであるBasilisk開発者の一人であるPopinetら研究グループも界面上の界面活性剤濃度輸送の研究を盛んに進めているが,上記問題の解決には至っていない.提案モデルは界面活性剤だけでなく,界面上で吸着し,移流・拡散する種々の物質輸送に対しても展開可能であると考えられ,当モデル開発によって本研究テーマは大いに進展したと言える.一方で,当初2023年度に予定していたマルチフェーズフィールド法の実装は,コーディングの段階にあり,2023年度前期までに実装・検証が完了する見込みである.
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Strategy for Future Research Activity |
開発を進めてきた複数GPUで並列実行可能なAMRコードに界面活性剤の濃度輸送モデルを導入し,超高解像度計算によって薄膜の崩壊過程を数値シミュレーションで再現する.スケーリング理論や実験で観測されている液膜崩壊(Daniel,2024)と計算結果を比較し,モデルの精度を検証する. OAPTを導入したマルチフェーズフィールド法と界面活性剤の濃度輸送を連成させた計算手法を新たに開発し,フォーム功法のシミュレーションを実現する.2Dマイクロモデルを用いた実験でえられたフォーム功法の実験データから多孔質形状気泡径分布および物性値を取得し,比較することで計算手法の妥当性を検証する.検証されたコードを用いて,フォームの気泡径分布,粘性・表面張力といった各パラメータが流動に与える影響を調べ,フォーム功法における回収効率増進のメカニズムを明らかにする.
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Causes of Carryover |
研究室にて別予算でNVIDIA A100を4台搭載したサーバーが導入済みであったため当初計画していたGPUサーバーの購入が不要となった.当初使用を予定していた東工大スパコンTSUBAMEの予算だが,2024年4月から稼働しているTSUBAME4.0でGPUがH100の世代に刷新され,かなりの使用料となることが見込まれたため,次年度使用額を大幅に残すこととなった.また,1件の国際会議発表について招待講演となったため,旅費等を開催機関に負担していただく運びとなり,国際会議1件の旅費が必要なくなった.以上の要因から2023年度の研究費使用額が想定を下回り,2024年度に使用させていただきたいと考えている.
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