2022 Fiscal Year Research-status Report
Detection and quantification of turbulent flow motion exchanging heat only
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22K14179
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
高橋 護 三重大学, 工学研究科, 助教 (30844625)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 乱流 / 熱交換 / 数値計算 / 風洞実験 / 熱線流速計 |
Outline of Annual Research Achievements |
乱流は層流にくらべてはるかに大きな輸送効果を示す.そのため伝熱デバイスにおいて,運動量と熱の輸送が同時に促進され,高い熱伝達性能には大きな流動抵抗が伴うという問題がある.これに対処する非相似輸送現象は工学的に重要であり国内外で活発に研究されている.本研究の目的は乱流現象の中から,熱輸送のみの促進を実現するきっかけとなる乱流現象を特定することである,申請者はその一つとして「圧力によるレイノルズ応力あるいは乱流熱流束の非相似な消滅」があると仮説しており,実施期間中にそれらの抽出,発現機構解明,定量化を目指す.第一段階で平板間乱流の数値計算,第二段階で加熱円形噴流における速度・温度同時測定を実施する計画で,本年度は第一段階の数値計算が実施内容の主である. レイノルズ応力・乱流熱流束の消滅イベントは乱流秩序渦構造の周辺に局在する.そこで平板間乱流の数値計算では,人工的に乱流中に秩序渦構造を発生させた流れ場を計算した.これにより空間的に局在したレイノルズ応力・乱流熱流束の消滅イベントを数値再現することができた.そこで,それら消滅イベントの非相似性を定量化のため,レイノルズ応力消滅と乱流熱流束消滅の結合確率密度関数を評価した.ここで,レイノルズ応力消滅が乱流熱流束消滅よりも卓越していれば,熱輸送のみの促進を実現する工学的に魅力的な現象といえる.評価された結合確率密度関数から,そのような「工学的に魅力的な」非相似消滅イベントが全体の23%から29%を占めることが明らかになった(壁からの距離に依存.壁から遠いほど大きい値を示す). 以上の数値計算と並行して,第二段階での速度・温度同時測定のための実験装置構築も進めた.現有の噴流発生装置に,気流加熱装置を組み込んで乱流温度場を生成できるようにした.また冷線温度計回路を設計し試作した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一段階における平板間乱流の数値計算により,熱輸送のみの促進を実現する乱流現象の「発現機構解明」「定量化」という3目的のうち,「定量化」が達成された.またその結果から,第二段階で実施する風洞実験の結果からも「定量化」は可能だと確認できる結果を得たことで,本研究全体の実現可能性が支持された.平板間乱流の数値計算の結果については,国内学会で1件,国際会議で1件の発表実績を挙げることができた.風洞実験に関しては気流加熱装置が完成し,冷線温度計も試作は完了したことで一定の進展はあった.しかし試運転中に実験室の電磁ノイズ状態が予想以上に劣悪であることが判明したため,その対策が追加で要求されることとなった.
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Strategy for Future Research Activity |
二年目は第一段階の平板間乱流数値計算の結果をさらに解析し,未達成である「抽出」「発現機構解明」に取り組む.評価した結合確率密度関数の結果から,レイノルズ応力消滅と乱流熱流束消滅の非相似性をよく定義し,それを満足する乱流現象を乱流場の中から抽出する.そして秩序渦構造成分との相互作用に注目し,レイノルズ応力・乱流熱流束消滅イベントの中に非相似なものが出現するメカニズムを明らかにする.一方,一年目中に明らかになり,学会での発表も完了した結果については学術雑誌に投稿する論文にまとめはじめる. 第二段階の風洞実験については,まず冷線温度計回路が現在試作段階であるので,その最終完成を最優先させる.ノイズ対策の方針は一年目に判明している(回路に関してはシールドやグラウンドの強化であるため,これを実施したうえで完成とする).完成し次第,冷線温度計単独で噴流温度場を測定し,自身の温度場測定技術の信頼性を評価する.その後は速度・温度同時計測プローブの設計と製作に着手し,年度内には少なくとも試運転,できるなら本格的な測定の実施を目指す.
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Causes of Carryover |
計算機を他の財源からの支弁により調達できたため,数値計算に関する支出額が当初計画より小さくなった.しかしながら風洞実験で電磁ノイズ対策の必要が生じ,当初想定以上の予算が要求されることとなったため,次年度使用額はこれに充当する.
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Research Products
(5 results)