2022 Fiscal Year Research-status Report
多孔質フィンを用いた乱流制御による革新的伝熱促進とその応用展開
Project/Area Number |
22K14180
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
本木 慎吾 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 講師 (70824134)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 乱流輸送 / 伝熱促進 / 多孔質体 / 流体力学 / 伝熱工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
多孔質フィンを用いた高効率な乱流伝熱促進手法の提案とそのメカニズムの解明を目的とし,数値シミュレーションおよび実験を行った. 多孔質フィンを有する非圧縮チャネル乱流(圧力勾配によって駆動される平行平板間の乱流)の直接数値シミュレーションを実施することにより,比較的薄いフィン(平板間距離の1/20)を用いた場合においても,フィンを介した流動が自発的に生じることで壁面垂直方向に顕著な秩序を有する大規模な流れが発生し,熱輸送が運動量輸送に比して顕著に促進される非相似的伝熱促進が達成されることを確認した.また,正方形の細孔で構成される多孔質フィンについて空隙率依存性を調査した結果,非相似的伝熱促進の指標が最大となる最適な空隙率が存在することを見出した.さらに,流れ方向に一様なスリットで構成される単純なフィンにおいても同様に非相似的伝熱促進が達成し得ることを確認した.また,細孔とスリットのどちらにおいても2種類の大規模流動パターンが存在し得ることを明らかにした. 数値シミュレーションによって得られた知見を基に実験装置の製作を試みた.実験装置は矩形流路(基本高さ20mm,基本幅300mm)で構成され,試験部にはシミュレーションと同様に,流れに平行な多孔質フィンがスパン方向に等間隔に配置される.様々なフィン性状を調査できるよう,フィンのみを容易に取り替えて試験を行うことが可能であり,フィンの厚みや間隔,流路のアスペクト比も変更可能である.予備実験として,数値シミュレーションにおいて非相似的伝熱促進が確認された性状に近い多孔質フィン(厚さ1mm,空隙率約30%)を用い,薄片状雲母粒子を用いた流れの可視化を実施した.その結果,多孔質フィンの導入により大規模な流動が生じることを実証した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
チャネル乱流の直接数値シミュレーションにより非相似的伝熱促進を達成する多孔質フィンの性状を同定することができ,さらに,実験の準備が整い,多孔質フィンによる大規模構造の発現を可視化実験により実証することが出来たため.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,数値シミュレーションによる多孔質フィン性状の調査をさらに進めるとともに,実験においてレーザードップラー流速計および粒子画像流速計を用いた速度場計測を実施することで,シミュレーションと実験の両面から乱流構造の詳細な解析を行う予定である.また,流路壁面を加熱することで多孔質フィンの伝熱性能の評価も行っていく.
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Causes of Carryover |
研究計画は予定通り進行しているが,少額の次年度使用額が生じた.翌年度に合わせて使用し,主に実験装置の拡充・改良費,出張旅費,および計算機利用料に使用する予定である.
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