2023 Fiscal Year Annual Research Report
空間的に精緻な流動・物性分布計測が解き明かす粘弾性流体の不安定流動遷移の起源
Project/Area Number |
22K14183
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
市川 賀康 東京理科大学, 工学部機械工学科, 助教 (00825060)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 粘弾性流体 / マイクロ流体 / 蛍光分子ローター / 粒子画像流速計 / 粘度分布計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,断続的にせん断速度が変化するような構造を有するマイクロ流路内を流れる粘弾性流体を対象として,流動状態が不安定状態へと遷移するメカニズム解明を目的に,流速計測に加え粘度分布計測に取り組んだ. 流動状態の解明にあたり,本研究では粘弾性流体としてポリアクリルアミド水溶液を使用し,その濃度の違いが構造物周りにどのような差異を生み出すのかPIVおよびPTVを用いて調査した.構造物としては急拡大・縮小によるせん断速度変化が見込まれる正三角形のピラーを一列に並べたものを使用し,特に構造物周りに形成される低速域の流動状態に着目した. 濃度が臨界濃度より低い希薄溶液においては,溶液の伸張作用により低速域内部で回転流が形成されること,そして,特定のワイゼンベルグ数を超えた条件では低速域が流路スパン方向に規則・不規則的な振動を示すことを確認した.また,隣接する低速域内部の時系列的な流速分布に着目して相関係数を算出したところ,特定の条件では相関係数が大きいだけでなく,遅れ時間が生じており,流動が伝播していることがわかった. 高分子同士の干渉が無視できない準希薄溶液を用いた場合,低速域内部の流動は比較的速度が小さく不規則的なものとなり,希薄溶液を使用した際に見られた回転流や振動は確認されなかった.そして,低速域自体の形成メカニズムとして粘度不安定に起因するshear bandingが影響しており,低速域内部に粘度勾配が生じている可能性が示唆された. これらの現象の差異を粘度変化の観点から明らかにするため,本研究では粘度に感度を有する蛍光分子ローターを用いた粘度分布計測に取り組んだ.その結果,せん断速度の大きな領域で粘度変化が大きくなることが分かったが,使用した蛍光物質の取扱が困難なことだけでなく,伸張およびせん断による粘度変化なのか切り分けができないという課題が出てきた.
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