2022 Fiscal Year Research-status Report
ナノ構造制御技術を用いた複合材料化による新規磁気熱電変換性能向上手法の確立
Project/Area Number |
22K14195
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
三浦 飛鳥 九州工業大学, 環境エネルギー融合研究センター, 助教 (10911274)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 熱電変換 / 強磁性体 / 異常ネルンスト効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
スピン駆動型熱電変換現象である異常ネルンスト効果の出力向上に向けた研究を推進した。異常ネルンスト効果効果とは、強磁性金属において磁化および温度勾配に直交した方向に熱起電力が生じる現象である。本研究では特に、異常ネルンスト効果に大きく寄与している横熱電係数のハイスループットな評価に向け簡便で汎用性の高い測定手法を開発した。従来では材料の横熱電係数を得るためには多くの計測技術・装置が必要であり高精度・ハイスループットな評価が困難であった。一方で本研究では、強磁性金属と非磁性金属で閉回路を構成した系で高精度に横熱電係数を直接計測できることを実験的および理論的に示した。加えて、横熱電係数の温度依存性の計測および提案した評価手法の適用範囲について議論した。横熱電係数は材料の持つフェルミ準位付近の電子バンド構造に大きく影響を受けるため、横熱電係数計測は磁性材料のトポロジカル物性評価に対して有用であり、本研究で提案する手法が新規トポロジカル材料や横熱電変換材料の開発に大きく貢献すると期待できる。 加えて、広い温度範囲での熱電変換材料の熱物性測定系の構築および磁性熱電変換材料の複合材料化に取り組んだ。特に、簡易な塗布プロセスで合成可能であるため注目されているハロゲン化ペロブスカイト薄膜に対して構築した熱物性測定系を用いて熱伝導率評価を行った。また、自身の研究のみならず、大学内外の研究者との共同研究にも大きく貢献し、当初の想定を超えた相乗効果も得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規磁気熱電変換性能向上手法の開発に向け、広範囲での熱電変換特性の測定系の構築が概ね完了した。また、複合材料の合成も並行して行っており、本研究課題はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
合成条件を変え複合材料の作製を行い、その熱電変換性能の構造依存性およびサイズ依存性・温度依存性を評価する。そこから新規磁気熱電性能向上手法の開発に向けた指針を得る。
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