2022 Fiscal Year Research-status Report
培養領域の形状最適化に基づく細胞遊走能の制御法の確立
Project/Area Number |
22K14202
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮廻 裕樹 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 助教 (40881206)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 細胞遊走 / 細胞配向 / エネルギー最適化 / 周期構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,周期的な微細構造パターン上を遊走する紡錘形細胞集団の遊走現象を系統的に計算する手法を確立し,微細構造の最適化による細胞遊走の制御を実験的に実現することである.本年度は,遊走現象の計算に必要である周期構造上の紡錘形細胞の配向場や配向に伴う流体場の計算方法についての基礎理論の構築と細胞培養実験による原理検証を行った. 基礎理論の構築では,研究代表者による先行研究の結果を拡張し,周期境界を表す等角写像を用いることによって周期構造上の細胞配向場を陽に記述する計算法を構築した.得られた細胞配向場の公式から弾性エネルギーを最適化することによって,与えられた微細周期構造パターンに対するエネルギー最適な細胞配向場を得ることができた.様々な周期構造に対して最適な配向場を計算したところ,周期構造の形状によってはエネルギーが極小となる配向パターンだけでなく,エネルギー曲面の鞍点に対応する配向パターンが存在することや,鞍点を経由してエネルギーが最小化するように細胞配向場が変化する場合があることを示した. 以上の計算結果が細胞培養環境で再現するかを確認するため,細胞培養実験による検証を行った.周期構造を持つPDMS構造体上でマウス筋芽細胞(C2C12)を培養し,インキュベーター内での長時間タイムラプス観察を行って細胞の増殖や配向場の変化を観察した.その結果として,周期構造上で観察された細胞は数値計算で予測された配向パターンをとる傾向が高いことが分かり,数値計算による予測の妥当性を確認することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り,本研究で対象としている周期微細構造上の細胞遊走の計算に必要な細胞配向場の計算法が構築でき,最適化に向けた数値計算法の基盤ができたため.また,実験検証においてもタイムラプス観察の実験系が予定通り構築できたため.
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Strategy for Future Research Activity |
細胞配向場および速度場を組み合わせた数値シミュレーションにより,候補となる微細構造パターンの形状を複数選択する.そして,実際の培養実験結果との整合性を検証しながらモデルの改良を行い,微細構造パターンの最適化を行う.
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Causes of Carryover |
研究発表計画を変更し,論文投稿の計画を次年度に変更したため.次年度使用額は論文投稿費として用いる.
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Research Products
(2 results)