2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K14203
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
平光 立拓 金沢大学, フロンティア工学系, 助教 (70845536)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
|
Keywords | ソフトロボット / ソフトメカニズム / 紐 / 関節機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,紐状部材を交錯することで,ロボットアーム用の関節機構の開発を行う.量産性に優れた紐状部材を絡ませるという方法をとることで,固有部品の利用を減らし,製造コストの低い機械要素の実現に繋げる.研究における第一の検討事項として,関節として十分に機能するための基本条件の検証とその基礎特性を評価することが挙げられる.
本年度は,樹脂部品間を紐で接続した構造からなる,関節構造の開発及び初歩的な特性評価を行った.関節構造は転がり関節型と球関節型の二種類に取り組んだ.転がり関節型に関しては,互いに向かい合った二つの半円柱面が交差した紐によって接続する構造とした.揺動関節として十分に拘束があり,一自由度の揺動関節機構として機能することを確認した.紐による拘束が関節の可動域に与える影響を幾何学的に解析し,腱を介した拮抗駆動系による動作実験によって関節内部で起きるすべり運動の発生について観察した.球関節型に関しては,球状部品表面を覆うネット状構造によって,関節の二自由度の揺動方向に対する異方的な関節弾性を実現した.また,異方的な関節弾性を踏まえたうえで,腱による劣駆動による動作方法を検討し,実際に動作させることに成功した.球関節型を応用したアームを製作し,湾曲面をなぞる倣い動作における関節柔軟性の測定実験を行った.どちらの取り組みにおいても,想定しているものとは異なる方向の動きの影響が重要であることを明らかにし,その低減あるいは利用方法についての取り組みを開始した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
転がり関節型に関しては,転がりとすべりの二種類の運動を同時に観察する測定環境の構築ができている.球関節型に関しては,異方的な関節剛性分布を実現し,それを加味した駆動に成功している.基礎的な検証環境の構築が完了しており,より複雑な可動域を持つ関節機構に取り組む用意ができた.
|
Strategy for Future Research Activity |
単純な転がり関節型を用いて,関節可動域の設計手法を明らかにする検討を続ける.付着させる多数の紐によって関節部品に拘束を与え,所望の関節可動域を実現する方法の検討をする.球関節型においては,関節弾性分布を積極的に利用した,関節の姿勢制御法に取り組む.アーム型ロボットへの応用を行い,関節の柔軟性とアクチュエーションによる作用の相互の影響について明らかにしたい.
|