2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of precision actuators to overcome the motor-constant dilemma for dual-stage actuators
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22K14204
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
伊藤 慎吾 福井大学, 学術研究院工学系部門, 准教授 (70898791)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | モーション制御 / 精密アクチュエータ / 二段アクチュエータ / ナノスケールサーボ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の対象とする2段アクチュエータは、長距離移動可能なリニアモータと精密アクチュエータで構成され、定速移動中の精密モーションを実現する。従来のシステム性能が「モータ定数ジレンマ」で制限されることを明らかにしてきた。そこで、このモータ定数ジレンマを打破するために、モータ定数を適時調整する精密アクチュエータを提案した。本年度は、シミュレーション及び試作機の製作と力センサを用いた計測実験による評価を行った。 提案する精密アクチュエータの開発のため、磁気の有限要素解析(FEM)を行い、適切なコイルの巻き数や鉄心の寸法、材料を決定した。決定した設計パラメータを基に、部材の選定を行い、提案する精密アクチュエータの試作機を製作した。さらに、アクチュエータをドライブする電圧アンプも製作し、2023年度のフィードバック制御で重要となる精密位置センサの選定も行った。製作した精密アクチュエータが、提案通りにモータ定数を調整できるか検証するため、FEMによるシミュレーションを行った。さらに、力センサを用いた実験を行った。結果として、シミュレーションと実験のどちらにおいても、モータ定数をリアルタイムで調整できることが確認できた。実験では、設定したモータ定数の最小値と最大値を比較して、約5.8倍に調整できることが明らかになった。これにより、モータ定数ジレンマを打破する精密アクチュエータの実現可能性が示された。 次年度では製作した精密アクチュエータのモーション精度を評価し、フィードバック制御を開発する。さらに、製作した精密アクチュエータに制御器を実装し、モータ定数を調整した場合のモーション精度への影響を実験により調べる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の2022年度の課題であったアクチュエータの設計、製作およびアンプの開発と精密変位センサの選定と搭載を予定通り完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度: 精密アクチュエータの単体のシステム同定と制御設計 製作した精密アクチュエータのモータ定数を変更しながらシステム同定を行い、結果に基づいて制御器を設計する。制御器実装後、クローズドループの単体性能評価を行う。また、部品や半導体不足が問題となっているため、2024年度で使用するリニアモータを2023年度中に選定し購入する。 2024年目: 走査ステージの製作、制御と分析 精密アクチュエータをリニアモータに搭載して二段アクチュエータを製作する。精密アクチュエータとリニアモータの協調動作を実現するマスタースレーブ制御を設計する。実装後、モーション精密度、制御帯域、走査速度、振動等をセンサで計測し、提案技術のモータ定数ジレンマへの効果と性能を分析する。
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Causes of Carryover |
再選定により想定よりも安価な部品を購入できたため、次年度使用額が発生した。今後、二段アクチュエータを構成する直動機構とモータの購入のために使用する。
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