2022 Fiscal Year Research-status Report
水による金属ナノポーラス構造の作製とそのケミカルセンサへの応用
Project/Area Number |
22K14213
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山田 駿介 東北大学, 工学研究科, 助教 (50811634)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ナノポーラス構造 / 環境調和性 / ナノ構造 / ケミカルセンサ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、マグネシウム合金から金属のナノポーラス構造を作製する世界初の手法を確立するとともに、TFTのゲート電極に応用することで、高感度なケミカルセンサを実現することである。マグネシウムは標準電極電位が小さく水溶性を示す。このため、合金を水に浸すだけで、合金を形成する金属のナノポーラス構造が作製できる。申請者が発見した世界初の本手法を用いることで、従来手法がナノポーラス化できない金属のナノポーラス化が実現する。プロセスの相性から合金の作製にはスパッタリングを検討し、本年度は本ナノポーラス化の妥当性を検討した。Mgターゲットの上に穴を開けたCu板を置きスパッタリングすることで、合金CuMgをSi基板上に150 nm成膜した。電子顕微鏡(SEM)のエネルギー分散型X線分析(EDX)を用いて、その組成を調べたところMgとCuの原子数比は80.7 and 19.3 at %であることが判明した。CuMgを水に浸漬してナノポーラス化したところ、MgがMg(OH)2になり難溶性のため水に溶解せずナノポーラス化が進行しないことが判明した。そこで、水に塩NH4Clを溶かすことで、NH4 +によりMg(OH)2を溶解させ、この問題を解決した。水溶液NH4Cl 10mMにCu箔に成膜したCuMgを浸漬したところ、銀色をしたCuMgは15分後には濃い青色になりSEM観察でナノポーラス構造が作製できていることが判明した。窒素吸着法を用いてナノポーラス構造の比表面積を測定したところ、ナノポーラス化前は比表面積が6.4 m2/gだったが、15分ナノポーラス化したものは、比表面積が24.1 m2/gになり、約4倍になることが判明した。このとき、Cu箔をふくむ質量を計算に用いたため、ナノポーラスCu層の比表面積への寄与はより大きいものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していたナノポーラス化技術の妥当性確認を行うことができた。水によるナノポーラス化はMg(OH)2が水に溶解せず、ナノポーラス化が実現できなかったが、水に塩NH4Clを溶かすことで、NH4 +によりMg(OH)2を溶解させ、この問題を解決できた。作製したCuナノポーラス構造は比表面積が24.1 m2/gになり、目的の値に到達している。
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Strategy for Future Research Activity |
ナノポーラス化技術の確立が実現できたので、今年度から、Thin film Transistor(TFT)作製し、ケミカルセンサへの応用を実現する。具体的には以下の通り。半導体材料としては、酸化亜鉛(ZnO)やシリコン(Si)を使用することを検討している。両者の材料を使用して、Thin film Transistor(TFT)作製し、移動度、しきい値電圧などを測定して、優れた材料を決定する。作製方法としては、スパッタリング、原子層堆積法(ALD)により、酸化亜鉛を成膜することや、Si薄膜をスタンピング転写により、生分解性基板に転写する予定である。以上の研究計画で作製したケミカルセンサを封止し、デバイスの分解を時空間的に制御して、安定したセンシングを実現する。、封止材としては生分解性材料SiO2からなるガラス基板とフリットガラスを使用する。ケミカルセンサ同様、フリットガラスのPBS、NaCl水溶液に対する溶解性、溶解速度を測定して、生分解性を検証し、デバイス寿命の測定を行う。
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Causes of Carryover |
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Research Products
(1 results)