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2022 Fiscal Year Research-status Report

時々刻々と変化するヒトの身体に適応した運動錯覚制御手法に関する研究

Research Project

Project/Area Number 22K14225
Research InstitutionKyushu Institute of Technology

Principal Investigator

小村 啓  九州工業大学, 大学院工学研究院, 助教 (00881096)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2024-03-31
Keywords運動錯覚現象 / 腱振動刺激 / リハビリテーション / 伝達関数 / 筋紡錘 / 多感覚統合
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、運動錯覚の“運動野を賦活させて運動機能を維持・回復させる効果”を活用し,新たなリハビリテーション技術の確立を目指すことを最終目標とする.そのため,本研究では“巧緻運動のような細かな運動感覚を運動錯覚で実現する”ことを研究目的とする.この実現のために,『腱への振動刺激の入力から運動感覚までの伝達関数を同定する』,『腱・筋の状態計測法,および運動錯覚制御法を確立する』,『視覚・触覚・運動錯覚を合わせた多感覚統合による高分解能な運動感覚提示法を確立する』ことを目指す.最終的にこれらを統合して巧緻運動に関連する運動錯覚制御技術を創出することを目指す.
まず,腱振動刺激の正弦波入力から運動感覚までの伝達関数を求めるために,腱・筋・筋紡錘・運動認識の関係をモデル化する.具体的には,腱・筋・筋紡錘をバネ・マス・ダンパでモデル化し、さらに筋紡錘の単位時間あたりのインパルス発射数が認識される運動の大きさと比例すると仮定して伝達関数を求める.本研究では10名の被験者に対して運動錯覚の心理物理学実験を行う.手首の橈側手根屈筋腱をボイスコイルモータで正弦波加振し、その正弦波入力の周波数(50-100 Hz)及び加速度(50-100 m/s2)と錯覚量(手首の伸展角度と角速度)の関係から伝達関数を求めた.実験の結果,提案モデルで刺激と錯覚の関係を説明できることを明らかにした。今後は、腱・筋の状態計測法や視覚・触覚・運動錯覚の統合の研究を進める。前者に関しては、正弦波加振した際の振幅とゲインからそれぞれの身体部位の機械インピーダンスの変化を求め,時々刻々と変化する筋肉の緊張状態を伝達関数に反映し,錯覚制御システムを構築する.後者に関しては,視覚・触覚・運動感覚を違和感なく統合する仕組みを構築する.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

1年目は,心理物理学実験を実施して運動錯覚の入出力関係を定量化し,入力の正弦波振動刺激(周波数・加速度)と出力の運動感覚(手首の伸展角度・角速度)のモデル化を実現した.まず,実施した心理物理学実験の結果について説明する.心理物理学実験では運動錯覚の対象を橈側手根屈筋腱とした.この筋・腱は手首を屈曲運動する際に活動する筋・腱であり,この部位に運動錯覚が生起すると手首が伸展方向に動く感覚が得られる.心理物理学実験では10名の被験者に対して運動錯覚を提示する.ボイスコイルモータで手首の橈側手根屈筋腱を正弦波加振し、その正弦波入力の周波数(50-100 Hz)及び加速度(50-100 m/s2)と,錯覚量(手首の伸展角度・角速度)の関係を調査した.つぎにモデル化に関しては,腱・筋肉・筋紡錘をバネ・マス・ダンパでモデル化し,腱に加わった正弦波振動がどのように筋紡錘のインパルス発射に繋がるのかをモデル化した.腱・筋肉・筋紡錘モデルのパラメータ同定では,過去に調査された哺乳類の筋肉を長手方向に正弦波加振した際の筋紡錘の単位時間当たりのインパルス発射数のデータを参考に合わせこみを行った.また,筋紡錘の単位時間当たりのインパルス発射数が運動認識(手首の伸展角速度)に比例すると仮定してモデル化を行った.実際にそのモデルを用いて10名の被験者の平均の結果に合うかを確認し,妥当性を確認することができた.今後は個人差も考慮したモデルの構築が課題となる.

Strategy for Future Research Activity

今後は、①個人差を考慮したモデルの開発,②腱・筋の状態計測法の開発,③視覚・触覚・運動錯覚を統合するシステムの構築,を実施する。①の個人差に関しては,昨年度作成した腱・筋肉・筋紡錘のモデルだけでは説明できない個人ごとの運動錯覚のバラツキの原因を明らかにする.②の腱・筋の状態計測法の開発に関しては,正弦波加振した際のゲインと位相からそれぞれの機械インピーダンスの変化を求め,時々刻々と変化する筋肉の緊張状態を伝達関数に反映し,錯覚制御システムを構築する.③の視覚・触覚・運動錯覚の統合に関しては,ヘッドマウントディスプレイや皮膚をせん断方向に変形させることが出来るアクチュエータを用いて,運動錯覚で得られる運動感覚に違和感なく統合する仕組みを構築する.

Causes of Carryover

ヒトの筋・腱の状態を計測するシステムの構築に時間を必要としたため,被験者を集めた実験を十分に実施することができなかった.本年度は,被験者を集めた装置の性能評価実験と改良に繰り越した研究費を使用する予定である.

  • Research Products

    (3 results)

All 2022 Other

All Presentation (2 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results) Remarks (1 results)

  • [Presentation] Development of the Control Method of Kinesthetic Illusion Considering Physical Information towards AI-based Rehabilitation2022

    • Author(s)
      Hiraku Komura , Masahiro Ohka
    • Organizer
      MIPE2022
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] 身体状態を考慮した運動錯覚提示システムの開発2022

    • Author(s)
      小村啓,大岡昌博
    • Organizer
      日本機械学会 2022年度年次大会
  • [Remarks] 九州工業大学の研究者

    • URL

      https://www.ccr.kyutech.ac.jp/professors/tobata/t1/t1-4/entry-4759.html

URL: 

Published: 2023-12-25  

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