2022 Fiscal Year Research-status Report
大気圧流動層プラズマを利用した革新的小規模分散型アンモニア合成
Project/Area Number |
22K14236
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
全 俊豪 東京工業大学, 工学院, 助教 (90781310)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | エネルギーキャリア / アンモニア / 大気圧プラズマ / 流動層 / 触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,日本では発電量が不安定な再生可能エネルギー発電を大量投入した低炭素社会に移行し始めている。そこで,電力系統の安定性の観点からも余剰に生産した電力をエネルギーキャリアに貯蔵し輸送する技術の必要性が高まっている。エネルギーキャリアの中でもアンモニアは,17.8 mass%の質量水素密度を有しており,大量生産技術が確立され,燃料という形で直接利用できるエネルギーキャリアとして現在有望視されている。アンモニア合成の製造手法はハーバーボッシュ法が確立されており,現在も産業利用されているが,大量なエネルギーを使用する関係上,小規模分散型の再生可能エネルギー発電に適応できない。本研究計画では申請者独自に開発した大気圧流動層プラズマ(特許出願済み)とルテニウム担持酸化マグネシウムナノ粒子触媒を組み合わせて,再生可能エネルギー発電の余剰電力を有効活用した革新的なCO2フリーの小規模分散型アンモニア合成を目指す。 本年の研究実績としては実験装置を準備し,実験をスタートアップしたところ,ルテニウム担持触媒と大気圧流動層プラズマを組み合わせたことで,従来のパックドペットプラズマよりも3倍ほど高いアンモニア合成収率が達成できることがわかった。しかし,大気圧流動層プラズマの放電維持は現在15分程度が限界であり,触媒粒子が凝集してしまうことが原因であると思われる。今後はさらなる大気圧流動層プラズマの維持条件を探し,安定的なアンモニア合成手法を開発していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究期間1年目である2023年度に大気圧流動層プラズマとルテニウム担持触媒を用いたアンモニア合成実験のセットアップを完了している。その後,実際の合成実験を行った結果,当初の期待通り大気圧流動層プラズマを用いた方が従来手法のパックドペットプラズマを用いた手法より3倍ほど高いアンモニア合成収率を達成した。そのため,おおむね計画とおり,おおむね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在,まだ大気圧流動層プラズマの安定性に課題があるため,今後は粒径サイズの変更,放電条件の精査をしていきながら,大気圧流動層プラズマの安定的な発生条件や維持条件を探索していく。すでに大気圧流動層プラズマの有用性は確認できているので,安定性が向上すれば本手法は非常に有用なアンモニア合成手法になりうる。
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Causes of Carryover |
他の予算も使用していたことで,次年度使用額が生じたので,次年度以降に実験装置を購入したいと思います。
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