2023 Fiscal Year Research-status Report
大容量非接触給電システムを実現する完全保護機能を有した交流超電導コイルの開発
Project/Area Number |
22K14243
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
井上 良太 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 助教 (80881127)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 高温超電導コイル / 非接触給電システム / 交流損失 / コイル保護 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,CO2削減と安全性の確保および簡便さの観点から,急速充電が可能な大容量非接触給電システムが求められている。しかし,銅コイルを用いた既存の非接触給電システムでは,電気抵抗による発熱が問題となり,大容量非接触給電システムの実現に課題があった。そこで本研究では,低損失な高温超電導(HTS)コイルを用いた大容量非接触給電システムを検討している。その一方で,これまでの研究成果から,大電流通電時にはHTSコイル内部の温度が局所的に上昇し,コイルが焼損する可能性があることがわかってきた。この問題を解決し,本システムを実現させるためには,「交流用HTSコイルの保護方法」を確立させる必要がある。そこで本課題では,自己保護機能を有するHTSコイル構造を提案し,HTSコイル内部の温度が局所的に上昇した場合においても,コイルが焼損せず安全に継続運転できる大容量非接触給電システムの基盤技術の確立を目指している。本年度においては,自己保護機能を有するHTSコイルの基本構造を明確にするために,HTSコイル内部の電流分布が計算可能な部分要素等価回路プログラムを構築した。また,構築した部分要素等価回路プログラムを用いて,HTSコイルの局所的な温度上昇がHTSコイル内部のインピーダンス特性に与える影響について検討した。さらに,共振用キャパシタの容量および設置位置がHTSコイル内部の電流分布に与える影響について明らかにすることで,自己保護機能を有するHTSコイルの基本構造について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標であった, HTSコイル内部の電流分布が計算可能な部分要素等価回路プログラムを構築することができた。また,自己保護機能を有するHTSコイルの基本構造を明確にするために,共振用キャパシタの容量および設置位置がHTSコイル内部の電流分布に与える影響について検討した。以上より,本年度の進展はおおむね順調であったと評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,本年度に構築した部分要素等価回路プログラムを用いて,自己保護機能を有するHTSコイルの基本構造を明確にした上で,非接触給電モデルシステムを構築し,局所的発熱が非接触給電システムの電力伝送特性に与える影響について実験的に明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
部分要素等価回路プログラムの構築に時間を要したことから,解析用計算機の導入を延期したため,次年度使用額が生じた。次年度に繰り越した予算は,プログラム解析を効率的に進めるための解析用計算機の購入,実験に必要な高温超電導線材の購入および成果発表に必要な旅費に充てる予定である。
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