2023 Fiscal Year Research-status Report
深層学習を活用したボルツマン方程式のグリッドレス直接数値解法の開発
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22K14245
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
川口 悟 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 助教 (70834852)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 機械学習 / 電子速度分布関数 / ボルツマン方程式 / 気体放電プラズマ / 放電基礎過程 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度はEVDFの時間進展ならびにAC電界下における時間周期的なEVDFをPINNsによるボルツマン方程式の解析によって求める方法について検討した。EVDFの時間進展を求める計算においては,今年度は時間については離散化し,各時刻におけるEVDFをNNによって表現する方法(離散時間モデル)について検討を行った。このモデルでは,ルンゲクッタ法,クランクニコルソン法などを用いて,時間について離散化し,各時刻におけるEVDFをNNによって表現する。時間について離散化せずにメッシュフリーで取り扱う連続時間モデルでは,①計算条件によって学習に失敗する場合があり,Evolutionary samplingなどの方法を利用する必要がある,②学習によって必ずしも初期条件を満たす解が得られるとは限らず,学習に依らず常に初期条件を満たすようにNNの出力値の計算方法を工夫する必要がある,といった課題がある。離散時間モデルでは,連続時間モデルと比べて初期条件を満たすEVDFが得られやすく,安定して学習が進む傾向がみられた。しかし,各時刻のEVDFから得られる電子輸送係数を時刻に対してプロットすると,不連続な部分がみられる場合があり,時刻の刻み幅の設定方法,学習方法等の更なる検討が必要である。AC電界下における時間周期的なEVDFを求める計算においては,前年度に提案した方法によって,印加電界に高調波成分を含むより複雑な場合においても検討を行い,モンテカルロ法シミュレーションによる計算結果と一致する解が得られることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度に予定していた位置空間も考慮したボルツマン方程式の解析には着手できていないが,EVDFの時間進展に関するボルツマン方程式の解析において,これまで用いてきた連続時間モデルよりも,離散時間モデルを用いることで安定的に学習できる可能性を見出しており,おおむね順調に進んでいると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
時間依存のボルツマン方程式解析における学習方法について更なる検討を行う。具体的には,離散時間モデルにおける時間刻み幅の設定方法,時間の離散化法(高次のルンゲクッタ法,クランクニコルソン法等)が学習に与える影響について調べる。その後,空間依存性も考慮したPINNsによるボルツマン方程式解析の方法について検討を行う。また,得られた成果を国際学術誌に投稿する。
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Causes of Carryover |
国際学会参加にかかる旅費,機械学習用グラフィックカード(GPU)の価格が当初の見込みよりも高騰しており,当初計画通りの執行ができなかった為である。次年度の研究費については,GPUの購入費,国内外の学会参加費,国際学術誌への論文投稿料に使用する予定である。
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