2022 Fiscal Year Research-status Report
コンクリ-ト構造物を利用した導波路型ワイヤレス給電技術の研究
Project/Area Number |
22K14264
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
松川 沙弥果 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 研究員 (90803924)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 電力伝送 / コンクリ-ト / 伝送特性 / 誘電体導波路 |
Outline of Annual Research Achievements |
コンクリ-ト構造物の無線電力伝送への適用可能性について調べるために、初期検討として単純な構造の線状アンテナ(ダイポールアンテナ)を送受信に用いて、数種類のコンクリートスラブにおける伝送特性を評価した。コンクリ-トスラブには、セメント、水、砕石、砂、混和剤から構成されるセメントコンクリートと、不飽和ポリエステル樹脂、砕石、砂、炭酸カルシウムを強固に固めたポリマーコンクリート、不飽和ポリエステル樹脂、砂、炭酸カルシウム、ガラス繊維で構成される3種類のポリマーモルタル(ポリマーモルタル、ガラス繊維を含まないポリマーモルタル、FRPで挟んだポリマーモルタル)を用いた。ダイポールアンテナをコンクリ-トスラブに対して平行に設置することでTE導波モードが1 GHzから6 GHzの周波数範囲で励起でき、マイクロ波のエネルギーがスラブ内に閉じ込められて伝搬することを明らかにした。さらに、ポリマーモルタル、ポリマーコンクリ-ト、セメントコンクリートの順で透過係数S21が大きく、伝送効率が良いことが分かった。ポリマーモルタルにおいては種類によらず同様の伝送特性を示し、空気中でアンテナを対向させた場合に比べて透過係数が約20 dB高い結果となった。また、時間領域解析により、コンクリ-トスラブ内を伝搬するマイクロ波はスラブに沿って広がりながら伝搬することを確認した。この広がりながら伝搬するマイクロ波を、アレイアンテナなどを用いることで集束させ、目的の方向に制御することで伝送効率の向上が期待でき、次年度以降これについて検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は当初の計画どおり、ダイポールアンテナを電磁波の送受信に用い、数種類のコンクリ-トスラブにおけるマイクロ波の伝送特性を調べた。これより、コンクリ-トスラブとその近傍に閉じ込められたマイクロ波のエネルギーがスラブを介して離れた場所に伝送されることが分かり、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はコンクリートスラブ内部に効率よく電磁波を導波させるために適したアンテナ形状や、複数のアンテナを配列し(アレイアンテナ)、各素子の給電を調整することによるエネルギーの伝搬方向制御について検討する。さらに、コンクリートスラブから電力を取り出す用途に適したカプラの最適化を行い、線状アンテナ(ダイポールアンテナなど)を送受信に用いた場合との比較を行う。本研究課題の研究成果については、学会などで積極的に外部発表を行う。
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