2022 Fiscal Year Research-status Report
結晶の磁場配向を利用した非侵襲痛風診断システムの開発
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22K14265
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
武内 裕香 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 助教 (90758765)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 磁場配向 / 反磁性微結晶 / 痛風 / 尿酸ナトリウム結晶 |
Outline of Annual Research Achievements |
激痛をともなう痛風のリスクを確実に見出すために,簡便で痛みのない検査手法が強く求められている。痛風を引き起こす尿酸ナトリウム結晶は『磁場で配向する際に光強度が変化する』性質をもつ。本研究では痛風の確定診断を目指し,体外から痛みを伴わずに結晶を高感度に検出する新システムを開発する。これまでの研究で,尿酸ナトリウム結晶が反磁性物質にも関わらず永久磁石程度の磁場に比較的応答することを示し,十分に広い空間において,結晶の配向挙動を観測してきた。しかし実際に結晶が存在する範囲は指などの関節中の微小な領域であり,特に関節内の軟骨周辺に局在的に凝集している場合もある。固液界面に吸着した結晶の配向は,界面張力の効果を考慮しなければならないため,従来の磁気配向の理論より複雑になると考えられる。そこで,本年度は2枚の板間の間隔を任意にコントロールできる薄層セルを開発し,空間を徐々に狭めていき,窓材と液体の界面(すなわち固液界面)における結晶の配向挙動がバルク空間と変わりないのか,変わる場合には,どのような配向特性を示すかを顕微観察・光学計測を行えるようなシステムの開発を行った。具体的には,5 cmの空間にステンレス(非磁性,耐腐食性)で薄層試料セルと試料導入部分作成し,膜厚は任意の厚みのテフロンシートをはさむことでコントロールできるようにした。さらに,窓部分を光学顕微鏡で観察できるように,正立顕微鏡において対物レンズより下が完全に空間フリーになる光学システムを構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績で述べた通り,試料のスペースを任意にコントロールできる薄層セルを設計し,切削加工により制作した。これにより電磁石中で微小な領域での結晶挙動の顕微観察・光学計測が可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
開発したシステムを用いて結晶が固体界面に吸着した時の結晶の磁気配向挙動を明らかにする。また,周辺の軟骨組織に結晶が付着している場合を想定し,固液界面における結晶の配向挙動についてもこれまで得た知見と比較しながら実験を行う。
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Causes of Carryover |
薄層セルを切削加工により制作したが,そのユニットのための光学素子がいくつか候補があったため,実際に実験を行いながら調整することにした。そのため,次年度に購入する。
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