2022 Fiscal Year Research-status Report
固体量子コンピュータデバイスSi:Pのパルス法磁気共鳴によるスピン制御
Project/Area Number |
22K14269
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
石川 裕也 福井大学, 遠赤外領域開発研究センター, 助教 (80825282)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | Pulsed-ESR / NMR / Micro Resonator |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は固体量子コンピュータ(QC)デバイス候補である希薄リンドープシリコン半導体(SI:P)のパルス電子スピン共鳴(ESR)及び核磁気共鳴(NMR)によるスピン制御を目指し、極小共振器(micro-resonatro:μR)の開発を行っている。量子ビットとして扱う31P核のスピンダイナミクスを明らかにするため、超低温・高磁場領域においてパルス法を用いたESR及びNMRの二重磁気共鳴を行うことを目的としている。 当該年度は、μRの開発及び磁気共鳴による特性評価を行い、NMRコイルのセットアップを製作する計画となっていた。μRの製作については、共同研究先であるフィンランドTurku大にてディスク部分の試作を実施し、同国Aalto大にてフォトリソグラフィにより製作したμRの切り出しに成功した。現在試作したμRの共振特性評価に向けて、電磁場解析ソフトCOMSOLを用いた導波管とディスクの最適な位置関係について研究を進めている。 実測評価用のシステムの構築は既に終わっており、シミュレーションが終わり次第実測評価に移行する予定である。 μRの製作と並行して進めてきたNMRコイルの設計検討として、μRの代わりに円筒型共振器を用いたENDOR測定を実施した。二重磁気共鳴実現の指標となるENDOR信号観測に取り組んだが、薄膜や空間的距離によりWクラスのCW-RFアンプが新たに必要であることも併せて判明した。コイルと試料との空間的距離をNMR及びENDORの結果については国際会議(International Conference on Low Temperature Physics (LT29)で講演するなどしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
μRの製作は、レーザーフォトリソグラフィによる知見がある共同研究先であるフィンランドTurku大にて実施した。ディスク部分の試作を実施した。同国Aalto大にてフォトリソグラフィにより製作したμRの切り出しを実施したが、Au製薄膜で形成されたディスクの表面に無数の擦り傷が入るなどしたため、選別や修復等の作業が必要となったためである。実測とシミュレーションの比較のため、設計値と同等のμRの設定に大幅に時間を取られているが、評価は可能であると考えている。そのためやや遅れているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はシミュレーションと実測を比較し、導波管とディスクの最適な位置関係の探索を継続する。130 GHz帯における共振特性を評価し、L-He温度でのテスト試料によるESRを実施したいと考えている。同時にNMRコイルの設計検討や、ディスクの形状の再検討を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
共同研究先であるフィンランドTurku大への渡航費用が想定していた金額を下回ったため(\34,760)。 2023年度もTurku大にてμRの試作等を行う予定であり、渡航費用として使用する予定である。
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