2023 Fiscal Year Research-status Report
Challenges in advanced acoustic navigation "technology" based on bio-sonar "strategy"
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22K14278
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山田 恭史 広島大学, 統合生命科学研究科(理), 助教 (80802561)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | エコーロケーション / コウモリ / バイオミメティクス / 生物ソナー / シンプルデザインセンシング / 自律飛行ドローン / 構成論的研究手法 / サーモホン |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究遂行により、①1送信器2受信器のコウモリ模倣型超音波センシングシステムを搭載したドローンによる自律障害物回避ナビゲーションを完遂することが出来た。これは、外界センサとして超音波センサのみを採用し、ドローンによる連続障害物回避を成功させた“世界初の超音波ナビゲーション”の成功である。従来の考え方では、飛行雑音が膨大であることからドローンを超音波ナビゲーションで飛行させることは困難であるとされてきたが、本ナビゲーションの成功により、未踏であった空中超音波ナビゲーション技術へのブレークスルーを与えたと言える。現在では、すでに論文第一稿の執筆を完了しており、論文投稿を行う段階である。 さらに、本年度の研究遂行により、②“コウモリの脳内での空間認知表象”を可視化させるデータ駆動解析ツールを試作することが出来た。これにより、コウモリの実飛行計測のふるまいと脳内での認知空間を対応付けた分析から、音響センシング時における選択行動の動機・因果関係の推察が可能となり、行動選択メカニズムにメスを入れることができると考えられる。特に、ベイズ推論に基づき構築された本分析ツールを活用することで、これまでに計測できていたコウモリの空間学習行動最適化ナビゲーションの高次意思決定機能の解明に 効果を発揮すると考えられる。また、逐次的推論による情報引継ぎによって徐々に鮮明な空間像が得られる本分析ツールの活用は、申請書に記載したオブジェクト形状認識(物体識別能)の理解にも大きく貢献するツールであると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度にほぼドローンの単独飛行実験を完了し、論文投稿段階まで進展したことから、順調に進行していると判断した。また、空間認知表象の可視化モデル(ツール)の構築は当初の研究計画調書にはなかったが、計画書に記載した音響センシングによる物体識別能の理解・応用という点においては、中身がブラックボックスな深層学習を用いるよりも効果的な手法を取り入れられたと考えている。これにより、研究がとどまることなく遂行できていることから、おおむね順調であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、本年度構築した脳内認知空間可視化ツールを用いて、コウモリの実飛行データの解析を推し進める。これにより、当初の研究計画調書に記載した①コウモリのアクティブセンシングメカニズムの解明、②空間学習ナビゲーションの意思決定メカニズムの解明、③障害物オブジェクトの形状認識メカニズムの解明を加速させる。これに加え、既に構築できたドローンシステムの小型化・軽量化を行い、より汎用的な試験飛行に耐えうる実機へと改良を行う。最終的には、コウモリのより高度なアクティブセンシング機能を組み込んだ自律ドローンシステムの検証を推し進める。これにより、最終的な模倣応用の到達レベルについて評価するとともに、新たな論文執筆を画策する。 まずは本年度に書き上げたドローン検証の論文の採択を実現させ、コウモリの空間学習ナビゲーションのメカニズムについてデータ駆動解析したものについて論文化することも目指す。可能であれば、最終的に構築できたコウモリ模倣ナビゲーションシステムの新たな論文の執筆についても検討したい。
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Causes of Carryover |
本申請者は任期付き助教で本年度が任期の最終年度であり、次年度に異動することが確定していた。異動先での研究経費を捻出するため、物品費や旅費等を節約していた。また、次年度は公立はこだて未来大学での研究活動が決定した。新たな研究環境の構築や、本研究遂行を協働してきた前任地の指導学生との連携研究活動を維持するために、これら経費を活用する。 具体的には、2名の指導学生の年2回の対面による研究議論を画策している。これら2名分の旅費及び宿泊費(5泊を予定)に60万円を計上する。また、次年度赴任地先での数値計算用ノートPC2台分の購入を画策している。この経費として90万円を計上する。また、研究議論用の大型モニタ(55インチ)を購入する。この経費に10万円を計上する。残額については、不測の事態に対応するための物品経費として計上する。
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