2023 Fiscal Year Annual Research Report
量子ビット応用に向けた酸化物半導体における暗励起子スピン流の研究
Project/Area Number |
22K14292
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山下 尚人 九州大学, システム情報科学研究院, 助教 (50929669)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 酸化物半導体 / 垂直磁気異方性 / 反応性スパッタリング |
Outline of Annual Research Achievements |
量子ビット応用が期待される暗励起子によるスピン流の生成を目指し、磁性酸化物薄膜の強磁性転移温度および成膜プロセスのその場測定を行った。 暗励起子の生成のため、スピン偏極キャリアを生成することが必要となる。そこで、スピン偏極キャリアのソースとなる磁性酸化物の研究に注力した。研究期間全体を通じて、磁性酸化物の磁気特性および光学特性の基礎研究に取り組み、国際共同研究を推進した。 強磁性酸化物半導体の候補材料であるコバルトドープ酸化亜鉛(ZnCoO)において、微視的構造の変化による磁気特性への影響を精緻に研究した。従来、定性的な議論にとどまっていた構造の評価において、新たに定量的な解析方法を提案した(論文投稿中)。新たにオンアクシススパッタリング装置を用いて成膜中のモニタリング技術を開発した。スパッタリング成膜では、薄膜の化学組成がターゲットの組成からずれることが知られている。また、酸化物の成膜においては高エネルギーの負イオンが膜に照射されるため、所望の組成および構造の薄膜を作製することが難しく、大きな垂直磁気異方性を持つツリウム鉄ガーネット(TmIG)が作製されていなかった。本研究では、組成ずれの要因である角度依存性を解明し、化学組成をずらしたターゲットを用い、世界で初めてオンアクシススパッタリングによりTmIGの作製に成功した。本研究により国際共同論文を発表した。さらに、プラズマ発光分光法を用いて成膜プロセスのその場測定を行い、薄膜形成プロセスにおける制御パラメーターの検討を行った(論文投稿準備中)。
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