2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of MIMO signal processor for analog RoF using optical phase control techniques
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22K14295
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 孝憲 北海道大学, 情報科学研究院, 准教授 (60835809)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 光ファイバ無線 / シリコンフォトニクス / 光導波路デバイス / 光集積回路 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、Beyond 5G/6Gにおける無線基地局のビームステアリング技術やビームフォーミング技術で必要とされるような、A/D変換不要なアナログRoF信号のMIMO処理デバイスの開発を目的として、光導波路素子の設計に取り組んできた。 令和5年度は、ビームフォーミングにおける出射特性に対応する光行列積演算回路素子の検証を行った。昨年度までに試作された2×2および4×4のユニタリ変換素子の検証を行ったが、光パワー分岐素子と光位相シフタの制御が所望の動作とならなかったため、回路構成の再設計を行った。特に、各単体試作素子をモジュール化してそれらを連結させることで、アナログRoF信号のMIMO処理の実験実証を進める計画であったが、光モジュールにおける位相誤差の時間変動が大きく、一体集積の必要性が浮き彫りとなった。現在、この光入出力特性の時間変動について原因究明にあたるとともに、この時間変動を補償する機構についても検討中である。 また、本年度は各素子の製造誤差がビームフォーミング性能に与える影響について検討した。ユニタリ行列変換回路素子に含まれる3dB光分岐素子の製造誤差が発生した場合、光パワー分岐素子と光位相シフタの制御が理想的に動作した場合でも、ビーム制御が不完全となることが予想される。しかし、伝達行列解析による数値検証結果によれば、シリコンフォトニクス作製技術で発生し得る±10nm程度の導波路幅誤差が生じた場合でも、ビーム出射角誤差は1度以下の誤差におさまり、他のビームへのクロストークも-40dB以下と極めて低い値をとることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
提案デバイスの主な構成要素は「光波長フィルタ」「光行列積演算回路」の2つであるが、光波長フィルタは実験実証まで進められたものの、光行列積演算回路の実験実証には未だ至っていない。特に、光行列積演算回路の試作依頼先でのトラブルがあり、試作結果のフィードバックが半年以上遅れているため、当初検討していたデバイス構成の再検討、および、素子試作に関する抜本的な方針転換が必要であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、単純な2×2 MMI素子と遅延導波路によるマッハツェンダ回路を用いて2×2行列積ビームフォーミング制御を実験的に確認することを目標とし、その後、演算次数の拡大に向けて設計・試作・実証を進めていく。
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Causes of Carryover |
令和5年度中に発注したシリコンフォトニクス試作素子が年度内に納品されず次年度にずれ込んだため、大幅な未使用額が生じた。来年度予算についても概ね計画通り、システムの実験実証に向けた物品・試作依頼費、ならびに、成果発表(論文投稿料・旅費等)のために使用する予定である。
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