2022 Fiscal Year Annual Research Report
Realization of novel devices with inductive ac spin current
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22K14301
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
重松 英 京都大学, 工学研究科, 助教 (00879265)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | スピントロニクス / 強磁性共鳴 |
Outline of Annual Research Achievements |
スピントロニクスと呼ばれる学問領域では電子移動に伴うスピン輸送をスピン流と捉えることで,新たなエレクトロニクス領域を開拓するための研究が進んでいる.近年,この交流スピン流をコプレナー導波路上に置いた磁性体試料において簡便に検出できる手法が提案され,実証されている[A. J. Berger et al., Phys. Rev. B, 97, 094407 (2018)].本研究では,主にこの方法に基づいて,球状の磁性絶縁体/金属構造における金属への交流スピン流生成,また交流スピン流電流変換による交流電流生成現象を実験的に検証することにした.1年目では,球状YIGを用いた素子開発ならびに高周波測定に取り組んだ. まず,はじめには直線状のコプレナー導波路を用いた.コプレナー導波路の中心にYIG球を設置した.この状態でコプレナー導波路に垂直な方向の外部静磁場を印加した. S21は複素電圧透過係数なので,その外部静磁場による変化はYIG球試料のもつ交流磁気感受率による電力吸収に相当する.とりわけ,(110)モードと呼ばれるモードは強磁性共鳴を示し,全球面,球内において同一の位相で磁気歳差している.このような場合は,金属帯を設置すると,同じ位相でスピン偏極を持つ交流スピン流が各所で球面の法線方向に注入されて,スピン流電流変換を経た後は位相が揃った交流電流が環状電流を生成することとなる.まず,(110)モードの一様位相による共鳴スペクトルを切り出して,これを環状電流が期待されるYIG球に白金を設置した場合と設置していない場合とで比較した.この結果,環状電流が期待される場合においてのみ共鳴線幅の増大が見られた.さらに,(110)モードの共鳴点がわずかながら高磁場側にシフトする現象が見られた.以上の解析を総合した結果,実験結果において観測された共鳴点の僅かなシフトと線幅増大は環状スピンホール電流と渦電流の双方に起因することがわかり,それらの寄与を定量的に同定することができた.
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Research Products
(1 results)