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2022 Fiscal Year Research-status Report

来る1000量子ビット時代に向けた低消費電力超伝導増幅器の開発

Research Project

Project/Area Number 22K14304
Research InstitutionTohoku University

Principal Investigator

沓間 弘樹  東北大学, 工学研究科, 助教 (80939950)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywordsパラメトリック増幅 / 超伝導デバイス / 力学的インダクタンス / 準粒子損失 / 二準位系ノイズ
Outline of Annual Research Achievements

2020年代中盤には、1000量子ビットを搭載した超伝導量子コンピュータが実現すると予想されている。しかし、現在読み出しに使用しているHEMT増幅器は発熱が大きく冷凍機の冷却の観点から100個以上の並列動作が難しい。本研究は、HEMT増幅器に対して消費電力が千分の一以下の超伝導進行波型増幅器 Kinetic inductance Traveling Wave Parametric Amplifier (KTWPA)を開発し、この問題の解決を図ることを目的としている。
本年度は、KTWPAに生じ得る損失源の特定、設計に重要なパラメータの導出、KTWPAの試作を行った。損失源の特定は、窒化チタンや窒化ニオブチタンを用いた超伝導共振回路を作製し、読み出し電力や測定温度を変えることで評価を行った。また、温度依存性の測定結果から設計において重要な窒化ニオブチタンの力学的インダクタンスの導出を行った。これらの評価やKTWPAの設計を進めていく中で、力学的インダクタンスの電流依存性の測定や、KTWPAを格納するパッケージサイズに起因する損失の抑制が重要であるという知見を得た。
力学的インダクタンスの電流依存性は、直流電流を印加することができる共振回路を作製し、評価を行った。また、温度を変えながら測定を行うことで、この電流依存性が温度に依存するという新たな知見を得ることができた。これらの測定結果を踏まえて、試作用KTWPAの設計および作製を進め、本年度中に完了することができた。パッケージサイズに起因する損失に関しては、電磁界シミュレーションソフトを使用し、この損失を抑制できるパッケージの設計を完了することができた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

窒化チタンや窒化ニオブチタンで作製されたコプレーナ伝送線路共振器を使用した評価により、KTWPAに生じ得る損失源の特定を行うことができた。読み出し電力や温度依存性を測定することで、超伝導表面の酸化に起因する二準位系雑音、構造に依存する放射損失、準粒子損失など、その切り分けを行うことに成功した。また、温度を変えながら共振周波数のシフトを測定し、その結果を理論と比較することで、KTWPAの設計に重要な力学的インダクタンスの評価に成功した。
次に、直流電流を印加することができる窒化ニオブチタンの共振器を作製評価し、理論と比較することで、KTWPAの設計において重要な力学的インダクタンスの電流依存性を導出することに成功した。また、この測定を、温度を変えながら行い、この依存性が、温度により変化するという、当初は想定していなかった新たな知見を得ることができた。
これらの結果を踏まえて、本年度中に試作用KTWPAの設計および作製も完了することができた。また、KTWPAを格納するためのパッケージの設計などの評価系の準備も本年度中に進めることができた。

以上の点から研究は順調に進展していると評価している。

Strategy for Future Research Activity

今後は、試作したKTWPAの評価をするための測定系の構築を進め、評価を行う。得られた測定結果を基に、回路パラメータの改善・最適化を進める。また、HEMTの代替を見据えて、より利得の大きなKTWPAの設計や将来的な量産化を見据えた作製手法の検討を進める。
また、本年度の共振器を使用した測定結果を基に、二準位系雑音、準粒子などの損失が、KTWPAの雑音にどの程度、影響を与えるのかの検討も行う。

Causes of Carryover

当初購入を予定していたシミュレーションソフトの価格が円安のため高騰し、購入できなくなってしまったため。研究機関変更に伴う、研究継続のため、測定系立ち上げのための物品購入などに使用する予定である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2023 2022

All Presentation (3 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Presentation] Evaluation of TiN and NbTiN resonators for superconducting circuits2023

    • Author(s)
      H. Kutsuma, C. W. Sandbo Chang, M. Takeda, H. Terai, Y. Urade, S. Tamate, Y. Takeda, and Y. Nakamura
    • Organizer
      Research Workshop on Superconductivity and Quantum Technology
    • Invited
  • [Presentation] 超伝導コプレーナ伝送線路共振器の損失のモデル化と評価2023

    • Author(s)
      沓間弘樹, 寺井弘高, 玉手修平, 中村泰信
    • Organizer
      日本物理学会2023年春季大会
  • [Presentation] 力学的インダクタンス進行波型増幅器に向けた窒化ニオブチタン薄膜の評価2022

    • Author(s)
      沓間弘樹, C. W. Sandbo Chang, 武田正典, 寺井弘高, 浦出芳郎, 玉手修平, 竹田悠大河, 中村泰信
    • Organizer
      日本物理学会2022年秋季大会

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Published: 2023-12-25  

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