2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of corrosion characteristics evaluation method based on visualization of adhesion substance on steel bridge surface by near-infrared analysis
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22K14309
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
蓮池 里菜 山口大学, 大学院創成科学研究科, 助教(テニュアトラック) (80886218)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 鋼材腐食 / 近赤外線分析 / 可視化 / 付着物 / 元素マッピング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,近赤外線分析による鋼材表面付着物分布の可視化に基づき,付着物に起因する鋼橋の腐食形態の判定を目指す.本年度は,ハイパースペクトルカメラ(HSC)を用いた近赤外線分析による,表面付着物分布の可視化手法の確立,および当該手法の妥当性ならびに精度の検証を進めた. 近赤外線分析による表面付着物分布の可視化に向け,試験片表面をHSCで撮影して得られたスペクトルに対し,波長ごとにハイパースペクトルイメージング(HSI)技術を適用することで画像化し,その分布を可視化した.同一試験片に対し,SEM/EDSにより元素マッピングを行い,対象とする元素の分布と,HSIの分布を比較することで,近赤外線分析によって検出可能な元素の特定を試みた.鋼材の腐食因子となる元素の中でも,海からの飛来塩分,凍結防止剤散布により,橋梁に付着する可能性の高い塩素(Cl)を対象とし,0.1%,3%と濃度の異なるNaCl水溶液を供給した腐食促進試験を実施した. 可視光領域である435nm,546nm,700nmと,近赤外線域である979nmのHSIにおいて,Cl付着の閾値を反射強度0.35以上と定義し,HSIと元素マッピング結果のピクセル毎の混同行列よりF値を算出し,その正誤判定および精度を,8体の試験片に対し検証した.波長979nmにおいて,F値は3%濃度NaCl水溶液供給試験片で約50~90%,0.1%濃度NaCl水溶液供給試験片で約20~50%となった.一方,可視光領域の3波長ではいずれもF値は0%となり,近赤外線領域においてのみ,Cl検出の可能性が示唆された.また,NaCl濃度が低い試験片ではF値が小さくなっており,検出には一定以上の付着量が必要である可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画時には,実橋梁および大気暴露試験片の分析を初期に予定していたが,付着物のコントロールが可能な腐食促進試験片の分析による,分析手法の確立を優先したため,実験順序が変更となっている.なお,大気暴露試験片については既に設置済みであり,順次分析を実施する.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究成果より,試験片の近赤外線分析による,表面付着物分布の可視化手法の確立は概ね達成された.また,当該手法の妥当性および精度の検証を進めたところ,試験片によって精度が大きく異なっていた.精度向上のため,近赤外領域で最適な波長の選定,反射強度の閾値の設定,検出可能な付着量の明確化に向け,引き続き検討を進める.なお,本年度使用していた試験片はSEM/EDS分析の際に設置が困難な形状であったことから,その対策として促進試験,分析双方に適した試験片形状を検討し,既に発注段階にある.加えて,実環境で付着する元素の分布を検討するため,大気暴露試験を実施している.現時点では海浜地帯にのみ暴露しているが,新たに実橋梁への設置に向け,調整を進めている.
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Research Products
(1 results)