2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of FE model to simulate the ultimate behavior of high-strength bolts subjected to bending and tension
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22K14319
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
杉本 悠真 岩手大学, 理工学部, 助教 (50940631)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 高力ボルト / ねじ / DIC法 / FEM / 引張接合 / 終局挙動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は曲げと引張を受ける高力ボルトの終局挙動を高精度に再現できるFEモデルを構築するものである.生産年齢人口の減少を受けて,建設工事の省力化が求められており,少ないボルト本数で組み立て可能な高力ボルト引張接合継手(以下,引張接合)はそのブレークスルー技術として注目されている.また計算機やFEMソフトの高性能化を背景に,この引張接合の性能検証にFEモデルが使用されることが多い.ここで,引張接合は高力ボルトねじ部の破断により終局が決まることが多く,高力ボルトねじ部のモデル化の違いが解析結果に与える影響は大きい.しかし,現在一般的に使用されているFEモデルにおいて,ねじ部のモデル化の妥当性については,実験的な検証ができていないのが現状である. そこで本研究では,特に課題となっている終局時における「曲げと引張を受けるねじ部の変形」や,「複数ボルト間での荷重分担機構」の現実のデータを取得するための実験手法を確立し,得られた実験データから高精度な高力ボルトねじ部のFEモデルを構築することを目的としている. 1年目(2022年度)はねじ部の挙動を計測するための実験手法の構築に主に取り組んだ.ねじ部の変位とひずみ計測には,高解像度カメラを使用した3次元DIC法を適用する方針とし,ねじ部を撮影するための試験治具を製作した.また,カメラ・照明配置,ねじ部に塗布するトラッキング模様などの実験条件の違いが計測精度に与える影響についても検討し,高精度な高力ボルトねじ部の変位計測手法を確立した. 実験手法の構築と並行して,高力ボルトねじ部のFEモデルの作成にも取り組んでおり,円筒ねじモデルや螺旋ねじモデルといったねじ形状の違いや,メッシュ種別,メッシュサイズの影響について比較検討を行った.結果,ねじ形状の違いがねじ部の伸びや最大主ひずみなどの解析結果に与える影響が大きいことを明らかにしている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1年目に「曲げと引張を受けるねじ部の変形」に関する実験データを取得する予定であったが,基本的な純引張条件下でのねじ部の高精度な変位計測手法を構築するに留まった.これは,カメラ・照明配置の違いやトラッキングの塗布方法の違いなど,当初想定していなかった実験条件の違いがDIC法の計測結果の精度に与える影響が大きく,その精度検証に時間を要したためである.
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Strategy for Future Research Activity |
1年目で収集した実験データを使用し,実験結果を再現できるFEモデルの構築と,現在一般的に使用されている円筒形状のボルトねじモデルの精度検証に取り組む.また,1年目に実施できなかった「曲げと引張を受けるねじ部の変形」を計測するための実験に加えて,「複数ボルト間での荷重分担機構」を明らかにするための実験を実施する.これらの実験が完了次第,再現解析に取り組む.最終成果物としては,再現する力学挙動のレベル(解析目的)に応じた推奨ボルトねじ部モデルの一覧表を作成し,ボルトのモデル化手法のマニュアルにて提示することを考えている.
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