2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K14326
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
伊藤 真一 鹿児島大学, 理工学域工学系, 助教 (20825690)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | データ同化 / 不飽和浸透特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
土中の水分状態を適切に把握するためには,不飽和浸透特性(保水性を表す水分特性曲線,透水性を表す不飽和透水係数の関数)の推定が重要である。不飽和浸透特性の推定は,試験に要する時間が長いことや試験装置が複雑であることなどが従来から課題として指摘されてきた。本研究では,データ同化を導入することで不飽和浸透特性を簡易かつ短時間で推定できる様々な方法を確立し,それらの異なる方法によって推定された不飽和浸透特性の違いについて考察することを目的としている。具体的には,研究期間内に「テーマ1:簡易現場透水試験の計測データに基づく水分特性曲線のデータ同化方法の確立」,「テーマ2:加圧板法とデータ同化を組み合わせた不飽和浸透特性推定方法の確立」,「テーマ3:異なる方法によって推定された不飽和浸透特性の違いに関する考察」の三つに取り組む。 当該年度では,主に「テーマ1:簡易現場透水試験の計測データに基づく水分特性曲線のデータ同化方法の確立」に取り組んだ。その結果,室内試験において簡易現場透水試験の計測データに基づいて水分特性曲線を推定することができ,データ同化によって得られたその水分特性曲線は他の保水性試験(加圧板法)によって得られた水分特性曲線と概ね一致することを明らかにした。また,「テーマ2:加圧板法とデータ同化を組み合わせた不飽和浸透特性推定方法の確立」に関しても,加圧板法の実験は多数実施しており,データ分析を行うための試験データは十分に蓄積した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究はおおむね順調に進んでいると判断している。 その理由は本研究の最も難易度が高いと考えられた「テーマ1:簡易現場透水試験の計測データに基づく水分特性曲線のデータ同化方法の確立」の方法論を確立できたためである。今後は土の種類を変えた場合の検証や現場での適用性を確認する必要はあるが,実験の方法や解析のプログラムを確立できたことは重要である。また,「テーマ2:加圧板法とデータ同化を組み合わせた不飽和浸透特性推定方法の確立」についても試験データは蓄積していることからデータ同化のプログラムを改良することで方法論の妥当性の評価ができると考えられる。「テーマ3:異なる方法によって推定された不飽和浸透特性の違いに関する考察」に関しても,現地計測システムは既に構築し現地での計測データを蓄積していることから,テーマ1とテーマ2の結果が出れば様々な比較を行うことが可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は「テーマ1:簡易現場透水試験の計測データに基づく水分特性曲線のデータ同化方法の確立」は土の種類を変えた場合の検証や現場での適用性を確認する予定である。「テーマ2:加圧板法とデータ同化を組み合わせた不飽和浸透特性推定方法の確立」に関しては,データ同化のプログラムを改良して方法論を確立する予定である。これらの方法を確立した後に最後の「テーマ3:異なる方法によって推定された不飽和浸透特性の違いに関する考察」に取り組む予定である。
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Research Products
(6 results)