2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of Evaluation Method for Policies toward Realizing Compact City in Shrinking Cities
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22K14344
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
菊池 浩紀 日本大学, 理工学部, 助手 (00822305)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | コンパクトシティ / 縮小都市 / 土地利用・交通モデル / MARS / システムダイナミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国の多くの都市では人口減少や財源の縮小による都市の縮小が進んでいることから,コンパクトな都市の実現を目指しているが,この目標の実現に至る過程では,どのタイミングで,どのような政策を実施すべきなのか明示されておらず,その実現可能性が不透明である.そこで,本研究では,動学的かつ空間的な土地利用・交通モデル“MARS”を用いて,縮小都市における市街地の集約過程が表現可能なモデルを構築する.人口規模別に複数の都市を選定し,ポストコロナにおける都市活動の変化も考慮した政策シナリオを整理した上で,シミュレーションを実施し,政策評価を行う.その評価結果の整理から,政策を体系的に評価する手法を構築する. 本研究の目的は下記の3点である. ①縮小する都市における市街地の集約過程を動学的かつ空間的に表現することが可能な土地利用・交通モデルを構築する. ②人口規模別の対象都市に構築するモデルを適用し,コンパクトシティの実現に向けた政策についてシナリオ別にシミュレーションし,評価する. ③政策評価の結果からポストコロナを考慮した縮小する都市におけるコンパクトシティの実現に向けた政策を体系的に評価する手法を構築する. 当該年度における研究成果として,国内の複数の都市においてモデルを適用するために,その適用に向けた現地調査を中心に実施した.現地調査では,対象範囲のゾーニングを決定するために,沖縄都市モノレール沿線の土地利用調査を実施した.また,コロナ禍における都市活動の実態を把握するために,人口滞留データを用いて郊外部での都市活動の実態の分析を実施した.その結果,コロナ禍になり,都市活動の拠点が郊外部へ移行している実態が明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は,主に縮小都市における市街地集約化を表現することが可能な動学的かつ空間的な土地利用・交通モデルを構築することを主な研究計画としていた.本研究では都市サービス水準モデルと都市財政モデルを構築し,既存のモデルに追加する改良を行い,公共施設の対象範囲を拡大するための改良と商業施設サブモデルを構築し,これまでの研究成果よりも更なるモデル改良を行うことが主な計画であった. 上記の研究計画を踏まえて,現在までの進捗状況はおおむね順調に進展している.当該年度は,モデルの改良に加えて,そのモデルの適用に向けて対象都市における現地調査を中心に実施した.モデルの改良については,年齢別に都市モデルを推計できるように人口モデルを中心に改良を行った.なお,商業施設サブモデルの構築及び公共施設サブモルの改良は,実施できていないため2023年度に実施する予定である.加えて,コロナ禍における都市活動の実態を把握し,アフターコロナにおける都市の在り方を検討するために,人口滞留データを用いて郊外部での都市活動の実態の分析を実施し,コロナ禍の都市活動の変化が都市の集約に与える影響を明らかにした.
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は,まず2022年度に実施できなかった商業施設サブモデルの構築及び公共施設サブモルの改良を実施する.また,構築したモデルを一般化するために都市規模別に複数の対象都市を選定し,前年度に構築したモデルを各対象都市に適用し,政策整理を行なった上でポストコロナにおけるコンパクトシティの実現に向けたシナリオを設定し,モデルシミュレーションを実施する予定である. また,2024年度は,各対象都市のシナリオ別に実施したモデルシミュレーションの結果を整理した上で政策評価を行い,コンパクトシティの実現に向けた政策の評価手法を体系化する計画である.対象都市の自治体が策定している立地適正化計画及び都市計画マスタープランからその都市の政策目標を示し,コンパクトシティの実現可能性として各シミュレーション結果の政策目標に対する達成度合いを分析し,縮小都市においてコンパクトシティの実現を可能とする体系的な政策評価手法を示す予定である.
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Causes of Carryover |
当該年度は,学会発表における学会参加費等の支出がなかったため,次年度使用額が生じた. 次年度は,当該年度の研究成果を複数の国際会議に投稿済みであり,その発表のために旅費を中心に支出が当該年度よりも多くなる計画である.
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