2023 Fiscal Year Research-status Report
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22K14351
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
沈 尚 立命館大学, 理工学部, 講師 (20882426)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 細菌 / ウイルス / 流域 / 薬剤耐性遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
琵琶湖(北湖3地点、南湖1地点)および流入河川(12河川)から採水した試料水(計69サンプル)から細菌およびウイルスDNA を抽出し、ショットガンシーケンスを行った。個々のメタゲノムサンプルから細菌の個別ゲノムをMAGs(Metagenomic Assembled Genomes)として再構築した。ウイルスゲノムは、SPAdes, VirSorter2, CheckVを用いて再構築した。得られた細菌およびウイルスゲノム内の薬剤耐性遺伝子は、RGIおよびCARDを用いて検出した。琵琶湖および流入河川サンプルから922個の細菌ゲノム、41,824(>5 kbp)のウイルスゲノムを再構築することが出来た。これらのうち、858 MAGsから33,605個の薬剤耐性遺伝子が、191個のウイルスゲノムから200個の薬剤耐性遺伝子が検出された。細菌は多剤耐性遺伝子、テトラサイクリン耐性遺伝子を多く保有していた。ウイルスはバンコマイシン系やフルオロキノロン系の薬剤耐性遺伝子を多く保有していることが明らかとなった。本研究では森林河川や都市河川など多様な河川を対象にしたにもかかわらず、細菌の薬剤耐性遺伝子プロファイルに地点差は見られなかった。これは、未培養・非病原性を多く含む環境細菌に広く薬剤耐性遺伝子が存在していることを示しており、環境細菌が薬剤耐性遺伝子のリザーバの役割を果たすことを意味している。一方でウイルスゲノム内の薬剤耐性遺伝子プロファイルに地点間の差が見られた。ウイルスゲノム内の薬剤耐性遺伝子は、過去に宿主細菌から感染を通して得たと考えられる。つまりこれらの薬剤耐性遺伝子は、形質導入を介した水平伝播の履歴であるか、今後形質導入が生じる可能性を示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画である、流域調査および細菌・ウイルスのショットガンシーケンスを全て完了したため。
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Strategy for Future Research Activity |
溶存態DNAのショットガンシーケンスがまだ一部しか完了していないため、残りのサンプルのショットガンシーケンスを全て完了する。また最終年度であるため、全ての画分(細菌・ウイルス・溶存態DNA)の薬剤耐性遺伝子プロファイルの比較および地域間の比較を行う。最終的には、琵琶湖流域の薬剤耐性遺伝子の分布図を作成する。
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Causes of Carryover |
当初予定していたシーケンスを依頼する企業よりも、同等の内容でより安価な企業を見つけたため。次年度は、次年度使用額と合わせてより多くのサンプルの分析を依頼する。その結果、当初の予定よりも詳細な薬剤耐性遺伝子分布図を描くことが期待出来る。
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