2023 Fiscal Year Research-status Report
地盤の不整形性と履歴特性を考慮した群杭の非線形杭周地盤ばねのモデル化
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22K14360
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中野 尊治 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教 (00805806)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 杭基礎 / 傾斜基盤 / 地盤改良 / 群杭 / 振動台実験 / 梁-ばねモデル / 有限要素解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
大地震時の杭基礎の応答評価モデルを高度化するためには、杭周地盤の水平抵抗の非線形特性を水平地盤ばねに取り入れる必要がある。水平地盤ばねの剛性と極限地盤反力の算定式は平行成層地盤を前提に定められており、支持層が傾斜した地盤や、地盤改良等の施工上の原因で局所的に土性が変化した地盤への適用性は明確ではない。本研究では、このような地盤を「不整形地盤」と総称し、不整形地盤に建設された杭基礎の水平抵抗性状の解明とモデル化を目的とする。2023年度は特に、支持層の傾斜した地盤と、杭の水平地盤反力の向上を目的とした固化改良によって杭近傍の剛性が高くなった地盤を検討対象とした。 (1)傾斜支持層の検討:まず、一連の模型振動台実験とその解析の結果を取りまとめた。それと並行して、実大スケールの杭基礎建物モデルを用いて、支持層の傾斜が群杭効果に及ぼす影響を分析した。支持層が傾斜した地盤では杭ごとに軟弱層の厚さが異なり、杭の変形モードが平行成層地盤とは異なるため、群杭に作用する水平地盤反力の特性、および杭のせん断力に影響が及ぶ場合があることを明らかにした。 (2)地盤改良の検討:均質地盤中の理想的な単杭を対象に、杭頭近傍の地盤を固化改良した場合の杭応力評価モデルを提案した。まず、三次元有限要素解析の結果を正解値と見なし、Winklerばねを用いた従来型の梁-ばねモデルで杭応力評価を試み、改良体の挙動に起因する複雑な杭応力分布の表現に難があることを示した。その後、改良体をばねと剛性要素の組み合わせでモデル化した梁-ばねモデルを開発し、杭応力分布の評価精度を格段に向上し得ることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
支持層の傾斜を考慮した検討では、2022年度に引き続き群杭効果に関する有意な知見が得られている。地盤改良を考慮した検討については、実験を見送り解析的な検討に留まったものの、提案した梁-ばねモデルの一定の有効性を示すことができた。以上より、本研究は「おおむね順調に進展している」と判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)傾斜支持層の検討:2023年度に明らかにした群杭効果との関係を整理し、学術論文として取りまとめる。 (2)地盤改良の検討:敷地地盤の種別や改良体の物性、杭の配置といった変数が、提案した梁-ばねモデルの有効性に及ぼす影響を検討し、必要に応じてモデルの修正を行う。また、大阪大学で室内模型実験を行い、実測データに基づく検証も実施する。
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Causes of Carryover |
2023年度には、地盤改良を併用した杭の模型振動台実験を実施する予定であった。しかし、解析に基づく改良型の梁-ばねモデルの有効性検討を優先したこと、また2024年度より大阪大学で新しい実験装置が使用可能となることから、実験の実施を見送ることとした。当該実験は2024年度に実施する予定である。
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